女性を中心に、日本人の旅行先としてポピュラーな隣国、韓国。首都ソウル随一の繁華街・明洞(ミョンドン)が今、日本人観光客でごった返している。コロナ禍には空き店舗が目立ち、ゴーストタウン化したが、2024年以降、週末ともなれば日本語が飛び交う光景が戻っている。
復活の最大の理由は、出入国制限の撤廃と韓国旅行ブームの再燃だ。K-POPや韓国ドラマの人気はコロナ中も続き、規制が緩んだ途端、抑えていた渡航需要が一気に噴き出した形だ。さらに韓国観光公社やソウル市が、日本人向けプロモーションを強化。美容皮膚科やエステを目的とした「医療観光」のリピーターが増えた。
だが明洞の真の強みは、実はトレンドではなく、安心・便利な点にある。近年、人気が高まる弘大(ホンデ)や聖水(ソンス)はカフェや路地裏の個性派ショップが若者を引きつける一方、移動距離が長く、日本語が通じない店が多い。これが韓国旅行リピーター、とりわけ中高年女性にとっては高いハードルとなる。
「明洞なら歩きやすいし、店が密集しているのでまとめて買い物できる。日本語で説明してくれる店が多いから、安心して買えるんですよね」(60代女性)
「以前、娘と一緒に旅行した時に、弘大に連れて行かれたことがあるんだけど、売っている服は20代向けで、私はあんまりでした。私は明洞がちょうどいいですね」(50代女性)
明洞は徒歩圏内にコスメ、ファッション、両替、屋台グルメが揃い、スタッフの日本語対応が充実。チェーン店が多く、価格や品質がわかりやすいため、母娘旅やおばちゃん世代のまとめ買いにうってつけだ。
韓国観光は若いインフルエンサーの発信が注目されがちだが、実は財布の紐を握る層の動きこそが、街の景気を左右する。歩きやすさと利便性を兼ね備えた「集積型ショッピング街」が、観光消費を支えているのだ。
(旅羽翼)

