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「AIに相談」「スマホで検索」で正解にたどりつけるのか? 脳科学者が説く、実は“一人で考え続ける”より大切なこと

「AIに相談」「スマホで検索」で正解にたどりつけるのか? 脳科学者が説く、実は“一人で考え続ける”より大切なこと

「スマホに頼ってばかりいると、記憶力が落ちるのではないか」「AIに相談ばかりしていると考える力が衰えるのでは?」――そんな不安を抱く人は少なくない。実際はどうなのか。

スマホやAIを“脳の拡張”として使う、これからの頭の使い方を、篠原菊紀著『脳を乗っ取る感情(アイツ)からあなたを守る方法』より抜粋・再構成して解説する。

スマホのせいで脳の機能が衰える?

わからないことがあってもググればいいや、とスマホに頼り、思い出したり記憶したりする努力をしなくなると、入った知識も右から左に抜けていってしまうのではないか、と心配になる人は多いようです。

このような習慣が根付くと記憶力や脳機能は衰えていくのでは…という危機感も感じます。脳科学の視点から、検索機能に頼りすぎるのは良くないことなのかを考えてみましょう。

たしかに、「あれ」「それ」が出ないことはあります。こういうときの脳活動を調べると、「何もしていないとき」よりも「思い出そうとしている瞬間」は、脳活動が高くなります。しかし、いつまでもその活動は続きません。外形的にはずっと悩んでいるように見えるし自分もそんな気になっていますが、脳内で検索する手がかりがないときや、考えるヒントがなければ活動は落ちていきます。

たとえば、クイズを出したとしましょう。考えつくした後、何も出てこない状態になると、脳の活動はきれいに下がります。その脳活動が下がった後の時間は無駄な時間になるわけです。だから、「あれ」「それ」って何だっけ?と瞬間的に考えることはとても大事ですが、「検索に頼らず、ずっと自力で考えなきゃいけない」と強迫的に考えるのはまったくお勧めできません。むしろクイズなどでは、とっとと答えを見て「おおっ、これか」と思ったときのほうが脳活動は高まるのです。

なんとなくすぐに答えを見ようとするのはズル、という感覚があるでしょう。でも、答えを見て「ほう」と思う方がいいのです。

ある問いがあり、誰かの話を聞きながら理屈を理解しようとしたり別の角度から質問したりして、ロジックを組み立てて文章を作る、そういったプロセスで思考はどんどん深まっていきます。「あれが思い出せない」といつまでも立ち止まっているよりも答えを知り、そこから「ほう」「こういうことか」と思考を進めているほうが、単位時間あたりのひらめき回数は増えます。

脳は固定的なものではなく一種の情報処理器官、何かが足りていないと思えばその情報にアクセスすればいいのです。スマホで検索する、というようにデジタルの世界に頼ることは「ラクをする」以上に、脳の拡張作業を後押しする行為でもあるのです。

AIはどうか?

棋士の藤井聡太さんは自らを上達させるツールとしてかなり早い段階からAI(人工知能)を積極的に活用してきたそうです。AIを使うことによってこれまでの人間が考えてきた定跡(最善とされる決まった手順での指し方)とは異なる、明らかに勝率の高い次の一手を繰り出すことができる。そう考えると、「自力が正しい」という発想に固執していると、藤井さんの足元に及ぶこともできない、ということになります。

ちょっと話は変わりますが、みなさんの受験勉強を思い出してみてもらうといいかもしれません。志望大学の赤本の問題をいきなり解いてもさっぱり何が何やらわからない。そういうときはとっとと後ろにある答えを見るか、解説を教わるほうが早いのです。問題と答えを照らし合わせてどうしてそうなるのかを知り、この場合はこんなふうに応用できるよね、と理解し知識を広げたほうが、「わからない」と止まっているよりも解く力も解き方を編み出すセンスも磨くことができます。

最近の話題でいうと、私は学生に課題でAIを使うのを推奨しています。学生に「文系っぽい課題のときには、AIに答えさせて文章を作って上手に活用したほうがセンスが伸びるよ」と話しているのです。

デジタルネイティブの人たちには今後それが当然の環境になっていくのだから、AIの不得意分野も理解した上で賢く利用したほうがワザを磨いていけるし、脳のネットワークも広げていけるからです。

ちょっと古い話ですが、1974年のサッカーワールドカップでオランダ代表選手のヨハン・クライフが見せた「クライフターン」というテクニックがありました。写真で見てもさっぱりわからなかったけれど、彼が来日して実際にそのテクニックを目の当たりにしたらみんなできるようになった、という逸話があります。これからサッカーをやろうというときに、プロ選手レベルの動きをする人工知能付きロボットがいれば、そのロボットと最初からサッカーを練習したほうが上達は早いでしょう。

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