プロ野球CSがスタートする中、水面下ではもうひとつの「戦い」が始まろうとしている。オフ恒例の契約更改だ。年俸がいくら上がるか下がるかだけでなく、自分の1年がどう評価されるか。その説明にどれだけ納得できるかは、選手にとって重要なテーマなのだ。
そうした「納得度」を可視化したのが、選手会が毎年実施する「契約更改満足度調査」である。交渉を5段階で評価し、「大いに満足」「満足」と答えた割合を球団別に集計する。年俸そのものではなく、説明の丁寧さや査定の透明性を主軸に、選手が評価した指標となる。
2024年オフの調査では、トップ5はいずれも満足度50%を超えている。ロッテ(61.40%)、巨人(56.41%)、阪神(55.36%)、広島(53.33%)、ソフトバンク(50.65%)が上位に並ぶ。楽天(19.67%)は3年連続の最下位だった。
上位に並ぶ球団が高評価を得ているのは、いかなる理由からか。巨人や阪神は高年俸球団ながら、査定ロジックと説明力に定評がある。特に阪神は「戦術反映制度」を導入。岡田彰布前監督が「四球を評価する」戦術要素を査定に反映し、選手たちが自らの役割・貢献を可視化できる設計が支持されている。
広島は年俸の上昇よりも、選手との長期にわたる関係作り、チームの面倒見の良さで信頼を積んできた。引退後のコーチ登用や球団職員への道を示す制度も、選手の安心感につながっている。
ロッテ1位の背景には、納得感が大きい算定構造が重視されてきたことがある。選手会の加藤諭事務局次長は、次のように分析する。
「満足度が高い球団は、どのポイントを上げれば年俸に反映されるかを、選手が理解している。説明が丁寧で、納得できる交渉が行われている球団が強い」
ただし、ロッテにも変化の波が予想される。来季からのサブロー(大村三郎)監督就任が決まり、就任会見で昭和時代を思わせるような厳しい練習方針を打ち出したのだ。
契約更改は金額以上に「説明力」が問われる戦場だ。どれだけ誠実に、どれだけ理解できる形で伝えられるかが、選手との信頼度を左右する。ロッテはこれまでその道を歩んできたが、これからは「厳しさ」が新たな満足度のカギになるかもしれない。来季以降、満足度ランキングに変化が現れるかも…。
(ケン高田)

