■北米で大ヒットを連発!2026年は“YouTuber監督”の躍進が止まらない

始まったばかりの今年の北米のサマーシーズンは、2本のホラー映画の話題で持ちきりとなっている。A24製作の『Backrooms』(公開日未定)と、ブラムハウス・プロダクションズ製作の『オブセッション 災愛』(7月17日公開)。どちらも現在20代の“YouTuber監督”の劇場用長編監督デビュー作という共通点がある。
ネットミームから生まれた“リミナルスペース”を題材に、はてしなく続く無人の空間に迷い込む恐怖を描いた『Backrooms』を手掛けたのは、現在20歳の天才クリエイター、ケイン・パーソンズ監督。16歳の頃から手掛け、世界中で一大ブームを巻き起こした動画シリーズを自らの手で長編映画化。
公開初週末から劇場には若い世代の観客が殺到し、オープニング興収はA24作品史上最高の8140万ドルを記録。史上最年少での北米No. 1獲得、A24作品初の北米興収1億ドル突破&全世界興収2億ドル突破などさまざまな記録を打ち立て、現在進行形で社会現象を巻き起こしている。

一方の『オブセッション 災愛』は、どんな願い事も叶えるという呪術に手を出した青年が味わう恐怖体験を描いた物語。メガホンをとったのは、スケッチコメディを中心にしたYouTubeチャンネル「that's a bad idea」で注目を集め、YouTube公開で200万回を超える再生数を記録した長編ファウンド・フッテージ・ホラー『Milk & Serial』でホラー界からも熱視線を浴びた現在26歳の新鋭カリー・バーカー監督だ。
批評集積サイト「ロッテン・トマト」で、批評家からの好意的評価94%という2026年公開作全体で見てもトップクラスの高評価を獲得している同作。口コミの拡大もあって公開2週目、3週目と右肩上がりの興収を記録。わずか75万ドルの制作費ながら、すでに北米興収は1億6000万ドルを突破、全世界興収も2億3000万ドルを超える異例のヒットを飛ばしている。

北米では今年1月にも、登録者数3870万人を超える伝説的YouTuberのマークプライヤーが手掛けたSFホラー映画『Iron Lung』もスマッシュヒットを記録。人気インディーズゲームを原作にした同作では、マークプライヤーが自ら監督・主演を務めるだけでなく、前代未聞の自主配給・自主宣伝を行ったことが大きな話題に。あらゆる面で既存のルールにとらわれない“YouTuber監督”たちが、いままさに映画界全体に革命を起こそうとしているようだ。
■双子YouTuberが長編第2作で描くのは、“儀式体験”ホラー
そんな“YouTuber監督”たちの先駆者ともいえるのが、“フィリッポウ兄弟”ことダニー&マイケル・フィリッポウ監督だ。オーストラリア出身の彼らは、登録者数690万人&総再生数15億回を超えるYouTubeチャンネル「RackaRacka」で世界的人気を獲得。呪物を使用した憑依チャレンジにのめり込んでいく女子高校生を主人公にした『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』で映画界に進出するや、全世界興収9220万ドルを超える大ヒットを記録した。

「YouTubeは、公開するとすぐに“なにが成功して、なにがダメだったのか”という視聴者の反応を得られます。それで鍛えられる部分もあるので、本当に強力なツールだと思っています」と、映画作品のみならず、映像制作を行ううえでYouTubeがいかに有用なものかを語るフィリッポウ兄弟。
「ゲートキーパーが門を開けてくれるのを待つのではなく、スマホさえあればすぐにでも挑戦できる。だから、このYouTuber出身の監督がヒット作を生み出している流れがこれからもどんどん続いていけばいいなと思っていますし、とてもワクワクしています」と、自分たちを含めた“YouTuber監督”たちの躍進ぶりに声を弾ませた。
彼らの待望の長編第2作となる『ブリング・ハー・バック』では、父親を失った兄妹の物語が展開する。兄のアンディ(ビリー・バラット)と目の不自由な妹パイパー(ソラ・ウォン)は、親切な里親ローラ(サリー・ホーキンス)のもとで暮らしはじめる。どこか不気味な雰囲気をまとった家で兄妹は、次々と不穏な出来事を体験し、やがて恐るべき儀式に巻き込まれていくことになる。
はたしてフィリッポウ兄弟は、本作でどんな恐怖を生み出しているのか。その衝撃的な全貌を、是非とも劇場のスクリーンで目撃してほしい。
文/久保田 和馬
