見覚えのない一行
届いたメッセージには、二人で行ったカフェや映画のチケット代が並んでいました。どれも覚えのあるものばかりで、私は順番にうなずきながら確認していきました。ところが一番下の項目だけ、見たことのないお店の名前が記されていたのです。半額として、2,900円。私はそのお店に、彼と行った記憶がありませんでした。日付を確かめると、彼が仕事で会えないと言っていた日と重なっていたのです。
膨らんでいく想像
誰と行ったお店なのだろう。なぜその半額が、私に届いたのだろう。考えはじめると、よくない想像ばかりが膨らんでいきました。もしかしたら、私の知らない誰かと過ごしていたのかもしれない。会えないと言っていたのは、そのためだったのかもしれない。私は何度も問いただす文面を打っては、送信する前に消しました。問い詰めて、もし本当だったらと思うと、確かめるのが怖かったのです。
