楽しみにしていた約束が消えた
付き合って二年。記念日のディナーは、一カ月も前から彼が予約してくれていました。お店の名前を教えてくれたとき、彼は少し得意げで、私もその日が来るのを指折り数えていたのです。
だからこそ、届いたメッセージが信じられませんでした。「ごめん、今日は行けなくなった。予約も取り消した」。理由を聞いても、返ってくるのは曖昧な言葉ばかり。仕事だとも、体調だとも言いません。何度かやりとりを重ねても、彼は肝心なところをはぐらかし続けました。
玄関先で見た花束
連絡だけでは気持ちが収まらず、私は彼のマンションへ向かいました。顔を見て話せば、きっと何かわかるはず。そう思っていたのです。
エントランスにたどり着くと、ちょうど彼が宅配の荷物を受け取っているところでした。腕に抱えていたのは、大きな花束。私に気づいた彼は、なぜかそれを背中に隠すようにしました。受け取りの伝票がちらりと見え、そこには私の知らない名前が書かれていました。「その花、誰からなの」。問いかけると、彼は目を伏せて「ごめん、今は言えないんだ」とだけ答えました。
