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船越ジャパン、成長を示した3週間も…決定力不足でベスト16敗退。“ラージ100”の形成過程で感じさせられた伝統国と日本の差【現地発】

船越ジャパン、成長を示した3週間も…決定力不足でベスト16敗退。“ラージ100”の形成過程で感じさせられた伝統国と日本の差【現地発】


 希望に満ち溢れた戦いぶりだった。だが、それはあくまでもグループステージの話。ラウンド16はあまりにも残酷な結末を迎えてしまった。

 10月8日、船越ジャパンの2年近くに渡る冒険が幕を閉じた。U-20ワールドカップのグループステージを3連勝で首位通過。7得点&無失点という圧倒的な強さを示し、U-20日本代表は意気揚々とラウンド16のフランス戦に臨んだ。

 しかし、結果は0−1の惜敗。20本以上のシュートを放ち、決定機は何度もあった。しかし、ポストやクロスバーに阻まれ、次第に旗色が悪くなっていく。最後は延長後半終了間際にFVS(リクエスト方式のビデオ判定)で、DF梅木怜(今治)がペナルティエリア内でハンドを取られ、このPKが相手の決勝点となった。

 改めて今大会を振り返れば、グループステージでは文句なしのパフォーマンスで相手を圧倒。誤解を恐れずに言えば、相手のレベルが想像以上に低かったという側面はあるが、MF大関友翔(川崎)や佐藤龍之介(岡山)を中心に組織的なサッカーで攻撃を構築し、課題だったミドルシュートからも3つの得点を奪った。

 守備陣も驚くほど安定し、DF市原吏音(大宮)とDF喜多壱也(ソシエダB)のCBコンビはビルドアップで起点になるだけではなく、空中戦で強みを発揮。右SBの梅木もスピードを活かした守備でアタッカーを封じ、左SBの小杉啓太(ユールゴーデン)も欧州で培った経験をフルに活かしながら攻守で違いを示した。
 
 そして、何より最大の発見はGKピサノ・アレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋)だろう。今季、彗星の如く現れた197センチの守護神は、名古屋でポジションを奪った勢いそのままに、今年7月のE-1選手権でA代表デビュー。U-20代表でも大会前にレギュラーとなり、世界の舞台でも輝きを放った。

 近距離のシュートストップで強みを見せ、ボールをこぼさずにキャッチできるハイボール処理も頼りがい抜群。攻撃の起点としても機能し、ミドルレンジのフィードや正確なビルドアップで11人目のフィールドプレーヤーとして欠かせない存在となった。

 そのほかにもアジアの舞台で低調なパフォーマンスに終わったMF齋藤俊輔(水戸)が躍動し、石井久継(湘南)はフリーランと機動力を活かして2得点。MF横山夢樹(今治)やMF布施克真(筑波大)といったサブ組も期待に応え、飛び級で参加した森壮一朗(名古屋)も右SBとして次回大会に期待を抱かせるパフォーマンスを見せた。

 だが、全てはフランス戦に尽きる。内容が良くても勝てなければ意味がない。何度も目にした光景でサッカーではよくある試合でもあった。もちろん、選手たちは懸命に戦い、持てる力の全てを出し尽くしたのは頭が下がる。
 
 一次予選を兼ねた昨年9月のU-20アジアカップ予選では最終戦でキルギスと1−1で引き分け、今年2月のU-20アジアカップも準々決勝でイランに苦戦し、PKで辛くも勝利して本大会行きの切符を手にした。そうした過去の苦しみを考えれば、選手たちは何倍も強く逞しくなったのは確かだ。

 だが、フランスに敗れた事実は変わらない。40人以上に招集を断られ、実質4軍に近くいフランスに対して内容で圧倒的できたのは、むしろ当然だった。選手たちもその事象を理解している。

「世界でこの年代で来ていない選手が多いのは事実」(佐藤)

 結局、本当の意味で世界レベルを味わえていない。だからこそ、準決勝、決勝と勝ち上がり、本当の強さを持ったモロッコやアルゼンチンなどと対戦できる場を得るためにも、フランスに勝ちたかった。

 大会前、山本昌邦ナショナルチームダイレクターはロス五輪に向けて「ラージ100」というキーワードを出した。これは五輪本大会がインターナショナルマッチウィーク外の大会で招集できる選手が直前まで分からないため、誰を呼んでも力が落ちないような集団を作り上げたいという意図からきている。本気で100人以上のラージグループ形成を目ざすのであれば、日本もU-17やU-20で安定して8強に入る力を備えるしかない。
 
 逆にフランスは4軍でもベスト8に進出し、真の強さを持った強国と戦うチャンスを掴んでいる。そうした結果が列強国を作り上げていく源泉なのかもしれない。選手のレベルが厳しい状況でも真剣勝負の場を経験していけば、将来的にステップアップできる可能性は高まる。チーム力に恵まれていなくてもしぶとく勝ち上がれば、選手に成長を促すサイクルが構築されるのだ。

「もう1回成長してA代表やU-23代表に進んでいけるように個人として成長したい」と梅木が口にしたように、選手たちにとってはラウンド16敗退の悔しさが次のエネルギーになる。だが、日本全体の未来を考えるのであれば、今回の敗戦を“運”や“決定力不足”ということで片付けず、重く受け止めるべきだろう。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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