“円満離婚”弁護士として、数々の離婚劇を見届けてきた原口未緒さん(50)。そんな原口さん自身も30歳から44歳の約15年間で4回の結婚と離婚を経験した。離婚理由はすべて共通していた。そこで心理学を学び、自身の“根本原因”を見つけ出した原口さんは今年7月、ついに5回目の結婚を果たした。(全3回の3回目)
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4回の離婚を招いた原因は…
4回の結婚と離婚を経験し、離婚理由がすべて夫が「働かなくなる」か「家に帰ってこなくなる」ことが引き金となったことに気づいた。なぜ同じような関係性を繰り返すのか、そのことを探るため心理学を学び続けた原口さんは、ある“答え”にたどり着いた。
「心理学を学ぶなかで、私自身が母親の価値観にどっぷり浸かり、自分の意見がないタイプだと分かったんです」(原口さん、以下同)
原口さんが実践したのは、胎児期から5歳児までに、親とコミュニケーションをどのようにとっていたかを探る心理テストだ。そのなかで原口さんの場合、母親と一緒に公園に遊びにいく際、母から「みおちゃん、A公園がいい? B公園がいい?」と聞かれるのではなく、基本的に「みおちゃん、A公園が好きよね?」と、母の価値観をおしつけるような形式が取られていた。
どんな選択や決断をしても母から文句を言われる。だから、最初の結婚相手も、無意識に母が喜びそうな相手を選んでいた。
「自分の意見がないんです。『好きにしていいよ』って言われると、一番困る。だから周りが喜んでくれることや、良いとされるものを選んでしまう。でもそれは自分で心から欲していないから、我慢が募ると続かなくなってしまうと知れたんです」
4回の結婚は、すべて相手の好意に合わせ、結婚生活もすべて相手のリズムや意見に合わせてきた原口さん。「私が4回も結婚できたのは、モテるからではなく、基本的に受け身姿勢で相手に合わせられちゃうからなんです」と分析した。
両親の泥沼離婚裁判、「母とは違う人生を歩みたい」
原口さんが何度も結婚を繰り返す背景には、彼女自身の半生も大きく関わっていた。
「両親は物心ついたときからずっと不仲で、一緒に笑い合って話している姿を一度も見たことがない。両親が離婚してるからこそ、自身の人生のチャレンジとして結婚したかったんです」
原口さんは父が弁護士、母が薬剤師の共働き家庭で育った。夫婦仲に決定的な亀裂が入ったのは、父方の病身の祖母を実家で引き取ることになったとき。母と祖母の関係性のなかで、父が「自分の母を蔑ろにされた」と感じたことが大きかった。その亀裂は深まるばかりで、父が家に帰ることはほとんどなくなり、外で女性を作って遊んでいた。
原口さんが14歳の夏、父から「交際している女性との間に子どもができた」と報告された。
母は大パニックに陥り、そこから毎日、原口さんは母の“カウンセリング”役を務めた。夕食後、延々と繰り返される父へのさめざめとした愚痴と恨み節を聞かされてきたことで、父に対しては裁判官的な立場をとるようになっていた。
原口さんが20歳のときに父が離婚調停を申し立て、別居中の5年間で泥沼の離婚訴訟が繰り広げられ、最終的には和解という形で離婚が成立した。
父が弁護士だったこともあったが、両親の離婚訴訟で法律用語などを見聞きするようになり、自然な流れで弁護士の道を志した原口さん。
「母を反面教師にして、母とは違う人生を歩みたいと強く思いました。だからこそ私は何度も結婚してるんだと思います。母は離婚後は誰とも再婚せずに一人だったので」

