2026北中米W杯、初戦のオランダ戦に2-2で引き分けた日本代表は6月21日(現地時間20日)、モンテレイスタジアム(メキシコ)で第2戦のチュニジア戦に挑む。
チュニジアはFIFAランキング45位、日本が入るグループリーグFの中では最も低いランクということで、確実に勝って勝ち点3を奪える相手とみられている。スウェーデンとの一戦では、1-5と大敗を喫した。
しかし本来は、あっさりと勝てるチームではないのだ。
チュニジア代表の愛称は「カルタゴの鷲」と呼ばれ、古代都市カルタゴ(現・チュニジア北部)に由来する。今大会で3大会連続7回目の出場となるが、グループリーグを突破したことはない。
それでも過去を振り返れば、1978年にW杯初出場を果たすと、メキシコを3-1で撃破。この勝利はアフリカ勢にとってのW杯初勝利となった。さらに前回大会では準優勝のフランスを1-0で破る歴史的な勝利を収めている。
今回の代表はアフリカ予選を9勝1分と無敗で突破。しかも無失点という守備を見せている。ところが昨年12月と今年1月に行われたアラブカップで、グループリーグ敗退。アフリカネーションズカップでもベスト16敗退となり、監督が交代した。
サブリ・ラムシ新監督は2014年ブラジルW杯でコートジボワール代表監督を務め、日本代表戦で逆転勝ちしたことがある。その後も複数のクラブの監督を歴任した経験は豊富だ。
チュニジアのサッカーは、アフリカ人特有の身体能力を前面に出すものではない。ヨーロッパに近い北アフリカに位置することから、組織的なサッカーを得意としている。そしてヨーロッパで生まれ育った選手が多くいる。
例えばMFのハンニバル・メジブリ(バーンリー)はフランス生まれでU-17フランス代表に選ばれ、マンチェスターユナイテッドのアカデミーで育った。23歳の若さでチュニジア代表の背番号10を背負い、リーダーシップがある。
ドイツ生まれのMFラニ・ケディラ(ウニオン・ベルリン)は、ドイツ代表の若年層で選ばれてきた。今年3月に代表変更が認められ、チュニジアへ。
ブンデスリーガで公式戦300試合以上の出場経験を持ち、実兄のサミ・ケディラはドイツ代表キャップ77で、ブラジルW杯優勝の中心選手だった。
このほかにもフランス、ドイツ、ノルウェーなどヨーロッパで生まれてサッカーを始めた選手が多数いるため、組織的なサッカーは子供の頃から身に付いている。
日本代表の1次キャンプ地はチュニジア戦を考えて選択
なぜチュニジアが侮れない相手かというと、チュニジアの3戦目の相手はAシードのオランダ代表だから。勝ち点3どころか、勝ち点1を奪うのも難しい。となれば、2戦目の日本代表戦に懸けてくるということだ。しかも、チュニジアは初戦のスウェーデン戦、2戦目の日本戦と、2試合連続でモンテレイスタジアムで戦える。移動なしで日本を迎え入れる立場だ。
環境はもちろんのこと、スタジアムの雰囲気や芝の状態も経験済み。これはチュニジアにとって、大きなアドバンテージとなる。日本代表が1次キャンプをモンテレイで行ったのは、このチュニジア戦を考えてのことだ。
試合は日本代表が主導権を握り、チュニジアが伝統の堅守速攻を仕掛けてくる展開になる。ポイントとなるのは先制点。前半を0-0で折り返し、後半途中にチュニジアに先制点を奪われると、当たり前だが2点取らなければ勝てない。先制後のチュニジアの粘り強く集中力の高い守備は、容易には崩れない。
そんな展開にさせないためには、チュニジアに守備のリズムを作らせないことが大事だ。ボールを奪われてもすぐに切り替えて、奪い返す守備ができれば、相手にリズムを作らせない。ボールの奪い合いの根比べが試合を左右する。
レベル的には日本代表が上だが、前回大会のコスタリカ戦(0-1で敗戦)を考えれば、何が起こるかわからないのがサッカーだ。
ただ、日本代表が先制すれば、チュニジアは前に出てこなければならなくなり、日本代表に追加点のチャンスが出てくる。全ては先制点がカギを握るのだ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

