うまくいかない毎日
このところ仕事の山が続き、僕は家にいる時間がほとんどありませんでした。任された案件はうまく進まず、職場では頭を下げてばかり。帰ってもパソコンに向かう日が続き、彼女と顔を合わせて話す時間も、気づけば減っていました。自分は何ひとつうまくやれていない。そんな焦りばかりが膨らんでいくなかで、ベランダのオリーブが弱っていることに気づいたのです。世話を彼女に任せきりにしていたのは、僕も同じでした。
枯らしたくなかった鉢
同棲を始めるとき、二人で時間をかけて選んだ鉢でした。仕事も家のこともうまく回せない僕にとって、その鉢だけは、自分の手で守れる「二人のもの」のように思えたのです。調べてみると、オリーブは陽を好む一方で、強い照り返しや風には弱いとありました。手すり際はちょうど陽がきつく当たる場所でした。僕は鉢を、やわらかい光だけが届く壁際の隅へ移し、毎日水のやり方を確かめながら世話を続けました。弱った葉が増えないことを、ただ祈るような思いでした。
