F1のアメリカにおける放映権を、IT大手のアップルが年間約207億円で取得見込みのようだ。
米メディア「Puck」によると、アップルは今月下旬に行なわれるF1アメリカGPで、アメリカにおけるF1放映権契約を結んだことを発表する見通した。この契約については、年間1億4000万ドル規模(約207億円)とも報じられていて、現在放映権を持っているESPNの支払金額を大幅に上回るモノだ。
なおPuckの報道によると、契約内容についてまだF1の公式配信サービス「F1 TV」との共存について調整が続いているという。ただ発表はアメリカGPで行なわれるようだ。
現在アメリカにおけるF1の放映権はESPNが所持。現行契約は2025年末で切れることになっていた。そして複数の報道から、ESPNは次期契約を見送る見通しであると報じられており、アップルが放映権獲得に乗り出す好機を得ることになった。
アップルはブラッド・ピット主演の映画F1の成功も背景に、強力な提案を行なったとされる。
アップルにとって課題となるのは、前述のF1 TVとの競合だろう。同サービスはアメリカに対応しており、高品質なストリーミングや豊富な機能を備えているため、アップルがF1 TVに肩を並べられるサービスを開発できるのかが今後の焦点となってくるだろう。
なおアップルによる巨額のスポーツ放映権の獲得は、3年前にメジャーリーグサッカーと10年契約を結んだことに続くものだ。メジャーリーグサッカーは10年契約で総額25億ドルとされており、メジャーリーグベースボールを配信する”Friday Night Baseball”と並ぶ規模だ。
そして、そこにF1が加わることとなれば、アップルにとってはアメリカスポーツ界での存在感をさらに高めることとなるだろう。
NetflixのF1ドキュメンタリー「Drive to Survive(栄光のグランプリ)」のヒットと、リバティ・メディアによるアメリカ市場への積極的な展開によって、現在F1はESPNおよびABCで1レース平均140万人の視聴者数を記録している。アメリカ内での開催が3レースに拡大したこともあり、視聴者数は今後さらに増加が見込まれている。
今月中に発表が行なわれれば、Appleによる新契約は2026年シーズンから始動し、レースはApple TV+で配信される見通しだ。一方、F1 TVの今後の扱いについては現時点で不透明となっている。

