埋め合わせという言葉
結局その日は特別な話をすることもなく、いつもより早くお開きになりました。お店を出て駅まで歩く道のりも、会話はとぎれがちです。彼の横顔を見ても、何を考えているのかまるで読み取れませんでした。別れ際、彼はぽつりと「今度、埋め合わせするから」と言いました。埋め合わせ。その言葉の意味をうまくのみ込めないまま、私は小さくうなずくだけでした。何を埋め合わせるというのだろう。もしかすると彼の中では、私と過ごす時間はもう、気の進まないものになっているのかもしれない。帰り道、そんな考えばかりが頭をめぐりました。
そして...
家に帰ってからも、彼の様子が頭から離れませんでした。三年という時間で、二人の間に流れる空気は、少しずつ変わってしまったのでしょうか。でも、勝手に答えを決めてしまうのは、きっと違うのだと思います。素っ気なかった彼にも、何か言えない事情があったのかもしれません。今度会ったら、今日感じたさみしさを、きちんと言葉にして伝えてみようと思います。聞かないまま終わらせたくないと、今は素直にそう思えるのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
