●テーマは「観光地ではなく働き暮らす場としての八ヶ岳」
今回の企画テーマは「観光地ではなく働き暮らす場としての八ヶ岳」。旅行気分の延長ではなく、“働く”ことを軸に据えた、あくまで仕事中心のワーケーションです。昼間は、それぞれがしっかり仕事を進め、合間にオプションのミニイベントに参加するスタイル。夜は懇親会や地域の人気店での食事会もあり、地元の味覚や人とのつながりを楽しむ時間となりました。
中でも盛り上がったのは、2日目の「BBQ&LT会」。囲炉裏を囲んで味わう八ヶ岳のジビエに、山梨の地酒やワインを合わせ、参加者のショートプレゼン(LT)を聴く。非日常の空気と知的な刺激が融合し、八ヶ岳ワーケーションDaysならではの名物イベントとなりました。
●ワーケーションは今でも生きているのか?
初日には「昼まで討論会!八ヶ岳ワーケーションの可能性」と題したオンラインセミナーを開催。三つの会場からの同時中継で、施設運営者を交えた議論が展開されました。
ご存じの通り「ワーケーション」という言葉は2020年前後のバズワード。しかし近年は耳にする機会が減っています。背景には、当初ワーケーションが「官製ムーブメント」として観光業の需要創出に利用された経緯があります。コロナ禍で冷え込んだ観光業を救うため、半ば無理やり導入された側面が強かったのです。
その後、観光はインバウンドを中心に急回復し、平日でも外国人旅行者で賑わうほどに。観光業にとって、もはや無理にワーケーションを誘致する必然性は薄れています。その結果、全国には利用者がほとんどいない“空回り”したワーケーション施設が点在。使われなくなった保養所を改装した合宿施設や、ホテルの一角に設けられたコワーキングルームなどが地域の住民にすら利用されず、閑散としているのが実情です。
一方、今でもワーケーション先として人気を保っている地域には共通点があります。それは「地元の住民が日常的に使うコワーキングスペースが根付いている」ことです。外部からの来訪者にとって非日常であるワーケーションも、地域の日常に支えられてこそ意味を持つのです。

