
いまから約60年前の1963年、全米ビルボードチャートで、日本人が歌う曲が3週連続1位という日本音楽史に残る快挙を樹立した。その曲の名は「SUKIYAKI」、いまだ世界中で愛され続ける「上を向いて歩こう」だ。高度経済成長期、人々がもがき苦しみ、心に不安が蠢いていた時代に、3人のバイタリティにあふれた日本人が、世界を魅了することになる珠玉の名曲「上を向いて歩こう」を生みだした。「689」シリーズと呼ばれた作曲家の中村八大、作詞家の永六輔、歌手の坂本九。彼らが走り抜けた「青春」「友情」そして「挑戦」。逆境のなか、時代を切り開いた男たちが魂を紡いで作り上げたこの「SUKIYAKI」の誕生秘話を、事実に基づいたフィクションで映画化する。
本作の主人公であり、物語の核となる天才作曲家、中村を演じるのは、岡田。若くして「天才ジャズピアニスト」と謳われ、のちに「明日があるさ」「こんにちは赤ちゃん」から「笑点」のテーマソングまで、日本の音楽史を彩る名曲を次々と生みだした音楽界の巨星に魂を吹き込む。メガホンを取るのは、『ヘヴンズ ストーリー』(10)でベルリン国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞するなど、国内外で圧倒的な評価を誇る瀬々。さらに、中村の相棒となる作詞家の永役に松坂桃李、世界を笑顔にした歌手の坂本役に仲野太賀をキャスティング。岡田、松坂、仲野という大河ドラマ主演俳優かつ日本アカデミー賞受賞者が昭和の伝説のトリオ「689トリオ」を演じる。
このほか現在までに、清野菜名、仲里依紗、土屋太鳳、上白石萌音、吉岡里帆、前野朋哉、こがけんらの出演も続々と発表。そして今回解禁されたのが、「689」トリオの裏側にあった、知られざる日々を支え、動かしていく重要人物たち。その大役に、確固たるキャリアを持つ名優から実力派の若手まで、多彩な顔ぶれが揃った。
坂本の母、大島いくを演じるのは薬師丸ひろ子。大きな時代のうねりのなかで、もがきながらスターの道を歩んでいく息子をいつでも温かく包み込み、彼の天真爛漫な生き方を肯定し続ける。家庭での素朴なやり取りを通じて、のちに日本中を笑顔にする「九ちゃんスマイル」の原点となった無償の愛を、薬師丸が丁寧に表現する。ジャズの世界にいた中村に、歌謡曲という新しい挑戦を突きつける鍋山プロデューサー役には、阿部寛。若きクリエイターたちの才能にいち早く目をつけ、中村が第1回レコード大賞を取るきっかけをくれた人物を、持ち前の熱量でエネルギッシュに演じ切るという。
そして、永と共に熱意を持って番組作りに奔走する毒島ディレクターを演じるのは戸塚純貴。型破りな表現者たちが集まるテレビ草創期の現場で、共に新しい時代のエンタテインメントを切り拓こうと汗を流した等身大の同志を、人間味豊かに熱演する。さらに、安保闘争に参加する永の前に現れ、彼の心に大きな衝撃を与える女子学生役には八木莉可子。平和への強い思いを胸にデモ行進へ参加する、激動の時代を生きる若者の姿をみずみずしく演じている。
また、今回の解禁に合わせ、689トリオを取り囲む実力派キャスト陣の出演も発表となった。クラシックやジャズから歌謡曲の世界へと飛び込み、激しいプレッシャーと戦う中村の唯一の音楽理解者でマネージャー役には井之脇海。激動の昭和を懸命に生きる人々の1人であり、物語のなかで名曲「上を向いて歩こう」をこよなく愛する男の子の母親役に山田真歩。実力派キャスト陣が加わったことで、表舞台のきらめきだけでなく、彼らを取り囲む人々のひたむきな歩みも鮮明に描かれる。
劇中で紡がれる音楽やテレビが当時の人々にどう届き、いかに光を灯したのか。単なる音楽家の伝記映画に留まらない、いまを生きる人々の心にも深く響く、普遍的な人間ドラマとなっている。今後も豪華な新キャストが解禁予定。続報にも注目だ!
■<キャストコメント>
●薬師丸ひろ子(大島いく役)
「『上を向いて歩こう』は、私自身子どもの頃から口ずさんでいた馴染みのある曲です。過去にも共演させていただいている太賀さんとご一緒できるということで、再会がとても楽しみでした。私が演じるいくさんは、働き者で子どもへの愛情が深くその存在に心を打たれました。激動の時代のなかで、仕事に心血を注いだ登場人物の生き様が伝わる作品になるのではないかと思います」
●阿部寛(鍋山プロデューサー役)
「何本かご一緒している瀬々監督の現場はいつもパワフルで、本当に映画らしいいい雰囲気があります。今回は古い建物での撮影もあり、何十年も前の空気感にすごくワクワクしました。作中に出てくる『上を向いて歩こう』といえば、僕のなかでも坂本九さんのあの笑顔や歌う姿がいまでもぱっと浮かぶほど、強烈なインパクトが残っています。今回、いまの音楽業界の形や芸能界のベースを築いた、もの凄く偉大で貴重な渡辺晋さんを参考に、役に臨みました。その凄まじい努力とビジネス能力、そして先人の残された功績に深い敬意を示して演じさせていただきました。何度か共演している主演の岡田さんがこの時代をどう演じるか本当に楽しみですし、当時の夢や活気のパワーをみなさんにもぜひ受け取ってほしいです」
※阿部寛の役は架空人物。コメントは当時の事実として、八大さんに作曲を依頼した人物をリスペクトした発言となります
●戸塚純貴(毒島ディレクター役)
「瀬々監督の現場は、撮影中に瞬間的に思いついた言葉をそのままセリフに反映させていくなど、作品が膨らむワクワク感があり楽しかったです。私が演じたのは、若い世代が上の世代に関係なくどんどんテレビを作っていけた、一番熱く活気あふれる時期のディレクターです。『上を向いて歩こう』は、誰に教わったわけでもないのに気づけば自然と歌える、不思議と馴染みのある曲でした。シンプルな歌詞の奥には涙がこぼれないように堪えるといった深い意味もあり、とにかく元気になる楽曲だと感じています。僕自身、上京した頃はなにもできない自分に悔しい思いをして、涙がこぼれないように上を向いて歩いたような経験があります」
●八木莉可子(女子学生役)
「初めての瀬々組でしたが、スタッフのみなさんもとても温かく、一丸となっていいものを作ろうとする本当に熱い現場でした。私は平和への強い思いを持って安保闘争のデモ行進に参加した女子学生を演じました。現場では緊張していましたが、初めて共演した松坂桃李さんの優しく柔らかい雰囲気に身を委ねてお芝居をさせていただきました。私自身、上京して仕事が上手くいかなかった時期に、家でこの曲を聞きながら涙を堪えていた思い出があります。誰もが知る名曲の知られざる裏側にある、もの凄く素敵で熱いストーリーをぜひ劇場で見届けていただけるとうれしいです」
文/山崎伸子
