福岡県議会議員の一部が高級リゾートホテルに宿泊し、ビジネスクラスで移動する豪華な海外視察を繰り返し、報告書の公表・開示が極めて限られていることが明らかになった。ほぼ“オール与党体制”の議会の中でも最大派閥の自民党ら主要4会派の当選2回以上の議員らだけが味わえる『特権』になっている疑いがある。さらに、釈明の記者会見を開いた県議会議長は「私は海外旅行は続けます!」と口を滑らせた。
一人あたり1回の平均額は126万円。200万円以上の視察も
「当時は高いと感じなかったが(今考えると)高額だと思う」
6月11日、豪華海外視察など最近福岡県議会で続出する問題を釈明する記者会見を開いた蔵内勇夫議長(72)は昨年1月に自身を含む4人の県議が参加した3泊のハワイ視察の費用が庶民感覚とかけ離れていることを認めた。
地元メディアや共産党福岡県委員会が情報公開請求でつかんだ視察記録によれば、ハワイ大学との意見交換や県人会との意見交換などを目的にしたこの視察で、一行は高級ホテル「シェラトンワイキキ」の一泊11万4千円の部屋に泊まり、一人当たりの費用は約300万円になった。
これだけではない。福岡県議会では前回選挙後の2023年8月から今年1月までに22回の海外視察が行なわれ、2023~2025年度の3年間で少なくとも3億円が海外視察費に消えている。
なぜこれほど高額の視察を頻繁に行なっているのか。3年前の県議選で候補者が全員落選し現在議席ゼロの共産党の真島省三委員長代理が解説する。
「福岡県議会では視察規模を膨らませる慣習が以前からありました。友好親善を目的に議長か副議長だけが行く計画を立てた後に、ぞろぞろ各会派の代表がついていく形で規模を膨らませるんです。
ただ今期の議会がひどいのは、さらに旅行の“中身”もいろんな口実で追加し、ハワイのシェラトンに泊まったり、高級ホテルでさらに特別な部屋に泊まったりしていることです。
海外視察の費用は当初予算で全体の枠を3000万とか5000万円で組むのですが、実際に視察に出る時は業者との随意契約でどんどん額を膨らませ、それで過去3年で3億円超になりました。いまの2026年度予算も5100万円ですが、放っておけば実際には何倍もの額になりかねません」(真島氏)
22回の視察のうち、報告書がHPで公開されているのは2回
目を引くのは、これだけの公金を費やした視察の成果を県民に伝える報告書がほとんど作成されていないとみられることだ。
「22回の視察のうち、報告書が議会事務局のHPで公開されているのは2回だけ。しかもそのうち1回分の中国視察のものは、別の財団法人などのHPをコピペした内容が含まれていることが発覚し、6月になって議会事務局は公開を取りやめました。
議会事務局は別に2回分の報告書を共産党に開示していますが、この4件以外の視察については報告書が作られてもいない可能性があります」(県関係者)
会見で蔵内議長は費用が高いことを認める一方で、
「我々からどこに泊まりたい、どのホテルがいいとかは一切申し上げることはございません」
と弁明。視察には意義があると強調しようとしたときには、
「私は海外旅行は続けます。この考え、一切変わることはございません」
と開き直った。これを聞いた関係者が「“旅行”とおっしゃいました」と耳に入れると、蔵内議長は苦笑いしながら、
「あ、すいません。海外旅行じゃなくて海外活動です」
と訂正した。
だが、これまでの海外視察に県民に還元できる成果が本当にあったのかと疑問視する声は尽きない。
実は22回の海外視察に1回でも参加したのは、現職県議87人のうち24人と辞職した2人の計26人だけ。蔵内議長が12回参加するなど特定の議員が繰り返し外遊する一方で、7割超の議員は一度も視察に加わっていない。その理由を県議会関係者が解説する。
「視察に参加できるメンバーは決まっているようです。最大会派自民党と立憲民主・国民民主系の『民主県政県議団』、保守系の『新政会』、さらに公明党の4会派だけ。しかも当選2回以上の人に限られます。
視察は形だけ参加希望者を募りますが、訪問目的などは抽象的に書かれ、何をしに行くのかもよくわかりません。視察でどのような知見を得られるかもわからず、参加するかどうかを判断する材料も“インナー”の議員以外は持たされない状態です。そうやって事実上、参加できる議員とそうでない議員に分けられるのです」(議会関係者)
主要4会派による視察システムの“頂点”にいると言ってもいい蔵内議長の影響力は議会にとどまらない。
「今の服部誠太郎県知事は県庁生え抜きのプロパーで副知事まで上り詰め、知事になった人です。県職員時代から蔵内氏との良好な関係は有名で、力関係で知事に勝るとみられる蔵内議長が事実上、県で一番の実力者です」(県関係者)

