『LINEヤフー PRESENTS WRESTLE ODYSSEY』東京・両国国技館(2025年10月11日)
GHCヘビー級選手権試合 ○KENTAvsマサ北宮×
GHCヘビー級王者KENTAが、今年の『N-1 VICTORY 2025』を制したマサ北宮の挑戦を退けて2度目の防衛に成功。WWE・NXT遠征中だった稲村愛輝が「Yoshiki Inamura」として電撃帰国し、いきなりKENTAの王座に挑戦することが決定的となった。
NOAH秋のビッグマッチのメインを飾ったのは“覇者vs王者"の構図となったGHC戦。黒い選手会長“ザ・チェアマン"へと変ぼうを遂げ、今年のN-1制覇にまで突き進んだ北宮が、王者のKENTAに挑戦した。
勝てばキャリア14年にしてシングルタイトル初戴冠、9度目の挑戦にしてGHCヘビー初戴冠となる北宮は、試合冒頭こそ喧嘩腰に前に出たKENTAにペースを握られたものの、セコンドのタダスケが注意を引きつけた瞬間、背後から襲いかかってサイトースープレックスをさく裂。一転して荒々しい攻撃を重ねる。KENTAが反撃に出ても今度はヨシ・タツが介入。レフェリーの死角を作ると、タダスケがパイプイスでKENTAを殴りつけた。北宮がすかさず場外戦に持ち込む。だが、ここでリングサイドに現れたのが稲村だった。
昨年9月に再び海外遠征に出向いた稲村は、11月からWWE・NXT武者修行を開始。見事に順応して今年7月にはNXT王座に初挑戦したほか、TVマッチで2度に渡ってNXTタッグ王座にも挑戦し、“NXTユニバース"にもすっかり受け入れられる存在となっていた。
“NOAH帰還"が待望されていたが、そのタイミングが秋の両国だった。稲村の存在を見つけた北宮と場外で言い争うと、KENTAともにらみ合ったが、稲村は手を出さずに、テンガロンハットを被って悠然とリングサイドに陣取る。その後、一進一退の攻防が続いたものの、北宮がレフェリーとの交錯を誘って無法地帯を作り上げると、ヨシ・タツとタダスケが乱入。すると、再び動いた稲村はリングに飛び込み、ラリアットで邪魔者を排除。やはりKENTAと北宮には手を出さず、再びテンガロンハットを被って試合を見守った。
勝負に出た北宮は頭突きからパイルドライバーでKENTAを真っ逆さま。ダイビングセントーンを落とすと、ストラングルホールドγの構えに。だが、KENTAは首固めで切り返すと、go 2 sleepを一閃。勢いを取り戻すと、ビンタやバズソーキックを乱れ打ち、再びgo 2 sleepでカチ上げて3カウントを奪った。
N-1公式戦では丸め込んでの勝利だったが、両国ではキッチリ北宮を“眠らせた"KENTAがGHCヘビー級王座2度目の防衛に成功。ベルトを掲げるKENTAのもとに、改めて稲村が近づき、そしてマイクを握った。
「コングラチュレーション、GHCヘビー級チャンピオン、ミスターKENTA。ワッツ・アップ!? プロレスリング・ノアのファンの皆様。Yoshiki Inamuraがアメリカからこのプロレスリング・ノアのリングにカムバックしました。ミスターKENTA、ユーの持つそのGHCヘビーウェイトベルトにぜひチャレンジさせてください」とルー大柴ばりの“日本語英語"で挑戦表明した。
すかさずKENTAは「一応、ここにいるお客さん全員を代表させて言わせてもらうわ…」と一拍置いたうえで「どした?急に」とツッコミ。「1年行っただけで、お前、絵に描いたようにアメリカかぶれてるじゃねえかよ!」と畳み掛け、両国もどっと沸いた。
稲村も折れない。「ミスターKENTA、分かってます。僕が得たアメリカでのエクスペリエンス、それを十分に活かして、あなたのそのベルトにチャレンジさせてください。ダーティなファイトは嫌いです。ぜひ僕とフェアー&スクエア、正々堂々勝負しましょう」と貫いて迫ると、米国在住のKENTAも「アイ・アセプト・ユア・チャレンジ」と英語で承諾して両雄による王座戦が決定的となった。
稲村はそのまま紳士的に握手…とみせかけて無双の構え。…が、すぐに着地させてアメリカンな“ハグ"をかまし、改めてKENTAに“ごあいさつ"してから去っていった。
ツッコミ心が抑えきれないKENTAは「いや、お前、夏休み明けの中学生かよ!」と追いツッコミをカマしたものの、ビッグマッチを締めたのは黒い太陽。「この連休、いろんな団体がビッグマッチある中で、この両国大会に足を運んでくれたこと、本当に嬉しく思っています。本当にどうもありがとう。また次若い世代との戦いも待っているかもしれないし、まだまだ俺は止まるわけにはいかないんだ。これからも突っ走ってみんなのこと引っ張っていくんで、ぜひ見届けてください。足元が悪かったら、最後まで、家に帰るまではNOAH観戦なんで気をつけて帰ってください。また会いましょう」と温かなマイクとともに“秋の両国"を締めくくった。
その後、稲村はリングネームそのものを「Yoshiki Inamura」と改めたことも判明。かつてKENTAは2022年元日武道館で稲村と対決し、その将来性を高く評価していた。あれから3年半の時を経て「Yoshiki Inamura」として現れた豪傑を、王者として迎え撃つ。
【KENTAの話】「What's up everybody? いろいろね、戦前、言ってはきたけど北宮、強かったし、危なかったし、それでも勝ったのは俺だから。次、なんか変な、あんなよくわかんねえ、かぶれたヤツ来たけど、あいつとやるのかどうなのか、まだわかんねえけど。何あれ? めっちゃかぶれてんじゃん。何年? 1年? 1年弱? よくあそこまでかぶれられるな。どういう神経してんの? ビックリした。ビックリしたよ。ビックリした! ふざけんなよ。今日とりあえず勝ててホッとしてるし、だけど、まだまだここからどんどん戦いは続いていくし、あの変なかぶれたヤツもまた来るのかもしれないし。やりますよ。全然いつでも。俺もまだまだやれる限り、同世代、引退していく人もいるけど、俺はこれ(GHCヘビー)を持ってる。今がある中でまだまだ突っ走っていくから見届けてやってください。結局ね、最後俺が何を言いたいかっていうと、ミスターKENTAってこと」
【Inamuraの話】「Yoshiki Inamuraがプロレスリング・ノアにアメリカからカムバックしました。本当にこの場に戻ってこれて、またプロレスリング・ノアのリングで試合ができることはベリー・エキサイティングです。たくさんのNOAHファンの皆さんがサポート、アシストしてくれたので、しっかりと恩返しをしたいと思います。そのためにはミスターKENTA、彼が持つベルトに挑戦し、僕がチャンピオンになります。ミスターKENTAがこのタイミングで、僕が帰ってくるこのタイミングでチャンピオンでいてくれたことはひじょうにハッピーです。あのでっかいヤツがしっかりとミスターKENTA、あなたにリスペクトをもってペイバックしたいと思います。ミスターKENTA、ぜひピュアで、ストロングで、フェア&スクエア、正々堂々としたファイトをしましょう。サンキュー」

