
この画像に映っているのは「ターザン5(Terzan 5)」と呼ばれる天体です。ターザン5は、いて座の方向、地球から2万2000光年の距離にあります。画像はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡のデータを組み合わせたものです。
天の川銀河のバルジの素になったガスと星の塊の生き残り
天の川銀河は、中央に「バルジ」と呼ばれるふくらんだ領域があり、そのまわりを銀河円盤が取り巻いています。ターザン5は、中央のバルジの中に存在しています。
天の川銀河のまわりには「球状星団」と呼ばれる天体が存在しています。ターザン5は従来、球状星団の一つとみられてきました。しかし近年になって、かつてバルジを作った星やガスの塊の生き残り「bulge fossil fragment(バルジ形成の化石の断片)」だと考えられるようになりました。
銀河のバルジは、初期宇宙においてガスや星からなる巨大な塊が合体して形成されたと考えられています。巨大な塊のほとんどはバラバラに分解され、バルジを構成する星々として完全に混ざり合いました。ターザン5は、そのような巨大な塊の生き残りだと考えられているのです。
4世代の星が存在
球状星団は一般的に、ある同じ時期に誕生した一つの世代の星の集団で構成されています。それに対してターザン5は、星団の中に複数の世代の星が存在しています。2016年にはハッブル宇宙望遠鏡の観測から、ターザン5には約120億年前に形成された星々と、約50億年前に形成された星々が混在していることが明らかになりました。
さらに最近のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測から、約38億年前に形成された星の集団や、約25億年前という比較的最近まで星形成が続いていた痕跡が見つかりました。ハッブル望遠鏡の観測でわかった恒星集団の年代についても、より高精度に約125億年前(天の川銀河が形成された時代)と約47億年前に形成されたことが判明しました。
今回の発見により、ターザン5が球状星団ではなくbulge fossil fragmentに分類されることがはっきりしたとのことです。なお同じタイプの天体としてはターザン5のほかに「リラー1(Liller 1)」が知られています。研究チームは、バルジの形成時の生き残りの「化石」がほかにもないかを探っているとのことです。
(参考)
塵に隠された球状星団「リラー1」をハッブル望遠鏡がとらえた
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Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, G. Zullo (University of Bologna), F. R. Ferraro (University of Bologna). Image Processing: A. Pagan (STScI)
(参照)ESA/Webb、NASA、The multi-age stellar populations of Terzan 5 as revealed by JWST

