「お店」というものは、外観と中身が一致している方が何かと商売しやすい。私(佐藤)はそう思っている。しかしながら、意外性も店の魅力のひとつ。たとえば、以前紹介した外観は完全にタバコ屋さんなのに、美味しいステーキカレーを食べられる「フラヌール」は外観と中身のミスマッチが最大の魅力。そして提供されるステーキカレーは絶品なのである。
実は最近、同じようなケースに遭遇した。東京・高田馬場の「ロンドンペッパーハウス」は、看板にステーキ & グリルとあり、店頭のメニューにはそのコンセプトに忠実な品々が並んでいる。
だが! 昼間は本格ミャンマー料理のビュッフェ(税込2000円)を行っているのである。ロンドンなのにミャンマー料理!?
・ロンドンなのにミャンマー!?
この日私は、別のお店を訪ねる予定で高田馬場駅の北側に来ていた。この界隈は相変わらず学生が多く、昼時は活気に満ちている。どこのお店も昼食を求める若者でごった返している。
目的のお店はさかえ通りを真っすぐ進んで、神田川沿いにあるようなのだが、この通りも以前と変わらず、国籍不明な情緒が漂っているな。
しばらく歩いたところで、店前で男子学生たちがしげしげとメニューを見ているお店があった。看板には「ロンドンペッパーハウス」とある。へ~、アジア系のお店が主流のこの街で、西洋風のお店もあるとは、なんだか新鮮だな。
看板にはロンドン名物のタワーブリッジと2階建てバス。ふ~ん、ロンドンでステーキってのも珍しいね。ギネスの飲めるパブならありそうではあるけど。
メニューを見ると、鉄板に肉とライスをのせた、いわゆるペッパーライスが売りの店らしい。珍しいのは、ビリヤニやピビンバなどがバリエーションにあること。いかにも高田馬場らしい、国籍不明の料理だ。
鉄板ビリヤニはなかなか美味そうだな。とはいえ、ビリヤニはインド、およびその周辺国で食べられる料理のひとつ。ロンドンはどこに行った?
その下にあった貼り紙に目を落とすと……。
え~~! 本格ミャンマー料理ビュッフェだと!? ロンド~ン! お~い、ロンドンはどこ~~!!
でも、こういうギャップ、嫌いじゃない。むしろ大好きだ! ってことで、目的のお店のことを忘れて入店しました。
どうやら、ここは以前ミャンマー料理のお店だったようだ。つい先週(2026年6月7日頃)リニューアルオープンしたばかりだと、後に店主に聞いて知った。このビュッフェも始めたばかりなのだとか。
・ガチのミャンマー家庭料理
入店して今一度メニューを見ると、やはり主力は鉄板のペッパーライス。ランチ時(10:30~15:00)はミャンマー料理のビュッフェも行っているが、通常メニューでの利用も可能だ。
飲みの需要にも対応しており、焼き鳥をはじめとする串ものや枝豆、キムチ、ナムルなど本当に何でもアリ。メニューの中で見つけたロンドンは、スープの中の「ロンドンスープ」くらいだ。好きです、こういう自由な感じ。
ロンドンはさておき、ビュッフェのミャンマー料理はガチでした。
詳細なメニューの記載がなかったので、私の見立てで恐縮なのだが、おそらく並んでいたものは次の通りだ。
手前左の大きなパッドは砂肝(またはモツ)の「チェッスィー」、その隣が豚バラ肉をスパイスで煮込んだ「ウエッター・ヒン」、左上の透明タッパーはミャンマー風の焼きビーフン「チャザン・チョー」、その下が骨付き鶏肉の煮込みの「チェッター・ヒン」。
そしてピーマン・パプリカの肉詰め。その上にある2つが何かわからないので、お店の人に聞いたら「辛い」と仰ったので辛くなるソースだろう。ピーマンの隣にはフライドオニオンと、それから海老と唐辛子のふりかけ「バラチャウン」。
そして木枠の中の鍋にあるのが、ミャンマーのストリートフード「ウェッター・ドゥッパ」。現地の屋台でおなじみの豚モツの串煮込みである。その隣がスープだ。
これらは本格的な家庭料理とのこと。まさかロンドンと名のつく店で、こんなに本格的なミャンマー料理が待ち構えているとは、入店前に1ミリも想像できなかった。
ひと通り皿に盛ってみた。正しい食べ方というか、ミャンマーの流儀がわからないけど、たぶん、こんな感じの盛り付けで間違いないよね? 以前、よそのお店でふりかけの存在は知っていたので、さりげなくご飯の端に盛ってみました。
串煮込みには、おすすめされるがままに特製タレを少々振りかけています。
先ほど辛いと教わったソースは避けたはずなのに、この特製タレも意外と辛い。おそらく、私の辛味耐性はミャンマーの方の感覚ははるかに下回っているのだろう。このピリッと来る感じは、お店の人にとって辛いに入らないらしい。とはいえ、豚モツの美味しさを引き立てていることはよくわかる。
豚バラのカレー風煮込みのウエッター・ヒンもまた、かすかな刺激を伴うスパイシーさ。ご飯との相性がよく、これが俄然食欲をかき立ててくれる。
唯一辛味がなかったのが肉詰めだ。ピーマンの肉詰めというと日本でもお馴染みの料理のひとつ。日本では焼く場合が多いと思うのだが、ミャンマーではクタクタに煮込むそうだ。それによって全体を柔らかく仕上げており、ピーマン・パプリカの苦味は一切ない。
なぜかお店の人がサービスでジュースを提供してくれた。もしかすると、私が辛そうな顔をしていたのかも。とても甘くて癒される~。
辛いとは思いつつも、食べ始めたらさらに食べたくなる。ミャンマー料理には不思議な魅力がある。ということでおかわり。
このとき、新たに1品加わっていて、お店の人が「美味しいよ」と仰るので食べてみたんだが、たしかに美味しいし食べたことのある味だけど、その正体がわからない。なんだコレ!?
帰宅後に調べたところ、これは魚のすり身。つまりつみれを揚げたものだった。ミャンマーではつみれを揚げるんだ! 知らなかった。どうりで食べたことあると思ったわけだな。
さらにおかわり! ご飯にウエッター・ヒンをかけてミャンマー豚丼にしました。
そんなわけで、ロンドンペッパーハウスはステーキ & グリルのお店でありながら、昼は本格ミャンマー料理の食べ放題を堪能できる意外過ぎるお店です。まだオープンして間もない穴場なので、ミャンマー料理を味わいたい人はぜひ訪ねて頂きたい。
