開催中のサッカー北中米W杯で、強豪国の足踏みが相次いでいる。
欧州王者スペインは初出場のカーボベルデを相手に、まさかのスコアレスドロー。優勝候補のブラジルもモロッコと1-1に終わり、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルまでもが、52年ぶり出場のコンゴ民主共和国に1-1で追いつかれてしまった。
いわゆる「弱小国」の善戦に世界のサッカーファンは大いに沸いているが、これに大打撃を受けているのが、海外マフィアや違法ブックメーカーである。国際犯罪に詳しいジャーナリストが語る。
「W杯は裏社会にとって、世界最大級の賭博イベントです。海外の合法ブックメーカーの陰で、マフィア系の地下賭博は巨額の資金を動かしていて、特に強豪国の勝利は『堅い商品』として扱われ、不正資金を洗浄するために低オッズへ大金を分散して賭けられている。ところがスペイン、ブラジル、ポルトガルのような本命級が次々に引き分けると、資金洗浄どころか、元本ごと吹き飛んでしまうのです」
マフィアにとって賭博は、単なる娯楽ではない。麻薬、詐欺、恐喝で得た現金を「使えるカネ」に替えるための装置なのだ。ところが番狂わせが連発すれば、安全運用のはずだった資金が一瞬で消えてしまう。
想定外の配当で夜逃げ・抗争に発展する危険性が…
とりわけ深刻なのが、マフィア自身が胴元となる地下ブックメーカーのリスクだ。
「少額でも大穴に賭けていた一般ベッターが的中すれば、胴元は高額配当を支払わなければならない。合法業者なら資金管理がありますが、裏の胴元は想定外の配当に耐えられないことがある。支払い拒否、夜逃げ、抗争に発展する危険を伴います」(前出・ジャーナリスト)
もっとも、今大会の番狂わせは、捜査当局にとっては好都合のようで、
「賭けが順当に当たっている時は、資金の流れが目立ちにくい。ところが大穴が絡むと高額配当の支払い、急な資金移動、暗号資産への換金、海外口座への送金など、不自然な動きが一気に表面化します。違法ブックメーカーが想定外の損失を穴埋めしようとすれば、普段は隠している資金ルートを使わざるをえない。当局にとっては、裏賭博ネットワークをあぶり出す絶好のタイミングなのです」(前出・ジャーナリスト)
海外マフィアにも甚大な影響を与える番狂わせであった。
(川瀬大輔)

