「受刑生活を送る中で、ふとその受刑者の心が動く瞬間を目にすることがあります」
刑務官らの日頃の心がけは「何も起きない起こさせない」ことで「平常を保つ」ことだという。
「受刑者の観察が大きな任務のひとつです。そのため刑務官同士でチームを組み、受刑者らの観察をし、受刑者ひとりひとりの行動をトラブルだけに限らず些細なことでも日々記録します。この記録があるとないとでは大違いで、これによって『何も起きない起こさせない』ための注意や、さらなる監視ができるようになります(前出・刑務官)」
では、廣瀬氏の「刑務所にいる者は誰も反省していない」という言葉を、刑務官はどう受け止めるか。改めて聞いてみた。
「反省していると見せかけて、していない受刑者ももちろんいるでしょう。しかし、そんなのはこちらも見抜いています。私たちは反省せず再犯して刑務所に戻る受刑者を何人も見ています。ここは刑務所ですから、そもそも更生した者の社会復帰した姿を見ることはありません。ただ、一縷の望みはあります」
その一縷の望みとは何か。
「反発的な受刑者も少なからずいます。しかし受刑生活を送る中で、ふとその受刑者の心が動く瞬間を目にすることがあります。小さなことですが『ありがとう』が言えるようになったとか、毎日荒れていた受刑者が少しずつ静かになっていったとか。そして、ここはそのわずかな改善をできるだけ長く保ち、可能な限り改善し続けていくことを目指す場ですから」
6月8日に内田被告に懲役27年の求刑がされた際に、SNSではこのような投稿が話題になった。
〈刑務所の運用コスト 1人当たり年間300万として 内田8100万 小西(優花受刑者)6900万〉
この投稿に「ふざけるな」「税金の無駄遣い」などのコメントが多数ついた。これに対し、丸山教授は言う。
「たしかに刑務所の一人当たりの運用コストは年間約300万円だということが以前に指摘されていました。しかし、時代とともに支出にかかるコストは変化しており、(受刑者の)作業等で収入となるものの相場も変化していると考えられます。
例えば、刑務所では収容にかかるコストだけでなく、作業による収入となるものもいくつか存在します。懲役刑では、1日8時間/週40時間の刑務作業が義務づけられており、その作業による収入は全て国庫に帰属します。
収容者が受け取る作業報奨金は平均4,556円/月(平成7年度)で、執行が始まってすぐの被収容者は更にかなり安価であることが出所後の生活費や被害弁償に充てる資金とするにしても不十分でないかと問題視されています。
ちなみに、刑務作業ではCAPIC(キャピック)製品を制作することや、刑務所の外の企業から依頼があった作業を請け負うこともあります。さらに社会貢献作業などもあるため、一概に収容にかかるコストだけを念頭に置くのは違うのかもしれません。さらに、これらとともに、特別改善指導の1つとして、先述した被害者の視点に立った教育が行われることになります」
判決が下った内田被告は今何を思うのか。自身の罪に向き合い、更生する日は来るのだろうか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

