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たった3分で経済効果800億円! 賛否両論のW杯新ルール「給水タイム」は選手のためか、広告のためか…世界的名将が猛批判した理由

たった3分で経済効果800億円! 賛否両論のW杯新ルール「給水タイム」は選手のためか、広告のためか…世界的名将が猛批判した理由

北中米W杯の全試合で新たに導入されたハイドレーションブレイク。前半と後半に1回ずつ、選手が給水を行なうための3分間の給水タイムだが、前後半45分ずつというサッカーの歴史が、この新ルールの影響で少し変わろうとしている。

世界的名将は批判「この変更は多くを奪う」

北中米W杯で導入されたハイドレーションブレイクが、ピッチ内外で大きな論争を呼んでいる。開催地は米国、カナダ、メキシコ。夏場の高温多湿や移動距離を考えれば、選手保護という目的自体には十分な合理性がある。

しかし、今回のルールは従来の暑熱対策とは性格が違う。気温や湿度が一定の基準を超えた場合だけではなく、空調の効いた屋内のスタジアムや比較的涼しい時間帯でも、原則として全試合で実施される。

つまり、ハイドレーションブレイクは臨時の安全措置ではなく、試合の構造に最初から組み込まれた新しい中断時間になった。

 この制度に強く異議を唱えたのが、ウルグアイ代表のマルセロ・ビエルサ監督だ。スペイン紙『アス』は6月21日、ビエルサ監督が会見でハイドレーションブレイクを厳しく批判したと報じた。

「2つではなく4つの時間帯でプレーすることは、サッカーを解釈するために築かれてきた概念や文化を変えてしまう」
「この変更は何も加えず、多くを奪う」
「サッカーには以前、ある特徴があった。今は別の特徴を持つものになった」

ビエルサ監督の批判の核心は、給水そのものではない。問題にしているのは、試合が前後半45分ずつの連続した競技から、約22分ごとに区切られる「4分割の競技」へ近づくことだ。

サッカーの本質的な魅力は、時計が止まらず、攻守の流れが連続する中で試合が展開していくことにある。押し込む時間、耐える時間、疲労によって判断が鈍る時間、そこで生まれる偶然と必然が、試合の表情をつくってきた。

しかし、3分間の中断が制度化されれば、劣勢のチームは呼吸を整え、監督は戦術を修正できる。逆に、勢いに乗っているチームは流れを切られる。ASの記事も、ウルグアイがサウジアラビア戦で反撃に向かう心理的に良い時間帯にブレイクの影響を受けたと指摘している。これは単なる水分補給ではなく、事実上のタイムアウトに近い。

もう一つの争点が、経済効果である。FIFAは選手の安全を前面に出す一方、放送ビジネス上の価値は極めて大きい

30秒枠のCMが1億円以上に

前出の『アス』によれば、ハイドレーションブレイク中には広告放映が可能となり、ブレイク開始直後の20秒と再開前の30秒を除いた最大2分10秒をCMに使える。30秒CMなら1回のブレイクで最大4本、1試合で8本前後の新たな広告枠が生まれる計算だ。

メキシコの現地紙では、104試合全体でハイドレーションブレイクが計624分、つまり約10時間分の新たな広告在庫になるとの試算を紹介している。潜在的な広告収入は約5億ドル。これは円換算すると、約808億円に相当する。

また、米Foxの広告収入について、ハイドレーションブレイクだけで2億5000万ドル(約404億円)から3億ドル(約485億円)規模になるとの試算もある。さらにアメリカ代表戦など注目カードでは30秒枠が75万ドル(約1億2100万円)に達するとの見方もあり、放映権料の回収に直結する巨大な商機になっている。

この仕組みは、アメリカのスポーツ文化と相性がいい。人気のバスケットボール、アイスホッケー、アメリカンフットボールはいずれも、クオーター制やタイムアウト、プレー間の停止を前提に発展してきた。

競技のリズムは細かく区切られ、その区切りがテレビ広告やスポンサー露出と結びつく。視聴者にとっても、中断中にCMや解説が入ることは自然な体験だ。

 一方、サッカーは違う。時計は止まらず、プレーの連続性そのものが緊張感を生んできた。もちろん、VARや負傷対応、交代によって現代サッカーの中断は増えている。

それでも、あらかじめ決められた商業的に利用可能な中断が前後半に1回ずつ入る意味は大きい。北中米W杯のハイドレーションブレイクは、サッカーを完全に米国型スポーツへ変えるものではない。だが、テレビにとって売りやすい形へ競技を少し近づける制度であることは否定しにくい。

では、日本代表にとって、この制度はメリットとデメリットのどちらが大きいのか。

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