他競技にもあった外国籍選手の排斥制度
――協会の会見では、玉塚元一理事長が、今回の新制度は日本出身選手の育成するためで見直すつもりはないと発言していました。この育成という観点からはどうなのでしょう。
平尾 ラグビーの競技人口が減っていることに対する ひとつの対策であるということでしたね。高校ラグビーの選手が減少しているのは、代表チームにたくさん外国人がいたら、上を目指すことなく辞めてしまう。大学まで続けても従来の枠組みだと、卒業後に引退して普通に就職するケースが多いのでそれに対応するためということでしたね。
しかし、競技人口の減少対策を考えるのであれば、取り組む方向性が違います。10代の選手は、特に中学校でみんな離れていくんですよ。
進んだ中学校にラグビー部がないから続けられないという問題があるのです。まずは、中学の部活動を活性化させるとか、創部を奨励する、各都道府県でアカデミーを作るとか、やることはたくさんあるはずです。
最後のところ、リーグワンのところだけいじっても抜本的な競技人口の歯止めにはならない。筋が通ってないんです。
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「日本人選手の強化育成のため」という理由付けで外国人選手の活動を制限するというNF(国内競技団体)のアクションについては、鮮明に記憶するものがある。バレーボールのVリーグが、1999年度から、外国籍の女子選手の登録を認めなくしたことがあった。
「コンビバレーの良さを見直す」「人気回復と代表強化のために日本人選手の出場機会を増やすため」という説明であったが、結果的にこの改革は失敗に終わり、Vリーグの人気凋落が進んで、3年後にまた外国籍選手の登録を復活させている。
このルール変更が用いられたときは、男子は外国籍選手の登録・出場ともに認められていたために、当時連覇を続けていたダイエーオレンジアタッカーズのエースセッターで米国籍のゼッターランド陽子選手を排除するためではなかったかとさえ言われていた。
それほどの愚策だった。当然ながら実力のある選手がリーグにいることが、人気・実力ともに活性化する。
東京朝鮮高校を救った準優勝校主将のコメント
逆のケースもある。1954年、東京朝鮮高校が都立だった時代、同校のサッカー部が東京都予選を制して全国高校選手権大会への出場を決めた。ところが、これに全国高体連の会長が待ったをかけた。
「高体連も選手権も日本の高校生のためにあるのだ」と都高体連理事に叱責が入り、朝鮮高校の加入問題があらたに議論されることになったのである。しかし、会議の席上で意見を求められた準優勝の青山学院高等部の鈴木洋一主将が毅然と言い放った。
「僕たちは決勝で朝鮮高校に0対2で負けた。強いチームにやられて、次こそは勝つ、そのためにもっと努力しようという気持ちになったのです。スポーツの世界で国境があってはいけない。
外国人だからということで朝鮮高校をオミットすることはできない。僕たち青学高は朝鮮高校の加入を要求します。彼らには東京都の代表として全国大会で暴れまわってきて欲しい」
このときの東京朝鮮高校は鈴木の期待に応えるように全国でベスト4に入っている。
この問題、筆者には、街中の外国人が経営する外国料理店などの経営資格要件の厳格化の流れともリンクしているように思えてならない。
これまでは資本金500万円以上であったものが、昨年10月から3000万円以上に引き上げられた。すでに店を営んでいる在留資格者も3年以内に要件を満たす必要がある。
資本金が3000万円以上の企業は、他業種も含めて日本国内では10%にも満たない。ましてや規模の小さな個人の飲食店では、この増資は不可能に近い。
これまで、日本各地で美味なエスニック料理を提供し、学生や若い会社員たちの胃袋を満たしてくれていた外国人が、継続経営をあきらめて店をたたみ始めている。
スポーツや食、それぞれの分野でこれまで日本社会を支え、その繁栄に寄与してくれていた人たちが、排除されている。寒々しい社会に連なる流れになってきていないか。
平尾さんはこう言って締めくくった。
「これはラグビーをやっている選手が、同じ仲間として声を上げるべきではないかと思います。公正取引委員会の判断も見ながら、私も選手会とも連動していきたいと思っています」
取材・文/木村元彦

