楽しみにしていた、初めての訪問
その日が来るのを、私は何日も前から楽しみにしていました。彼と付き合い始めて半年、ようやく私の部屋に来てもらえることになったのです。お気に入りのカップを並べ、クッションの位置を何度も直し、彼が好きだと言っていたお菓子も用意しました。
インターホンが鳴ったとき、思わず鏡で前髪を確認してしまいました。ドアを開けると、彼は花束を抱えて立っていて、私のために選んでくれたのだと、その瞬間は本当に嬉しかったのです。
花束に添えられた、知らない名前
花瓶に生けようと花束を受け取ったとき、透明なフィルムの内側に小さなカードが挟まっているのに気づきました。開いてみると、そこに書かれていたのは私の名前ではなく、前にこの部屋に住んでいた人の名前のようでした。
「この名前、私じゃないよね?」と尋ねると、彼は少し目をそらしました。
「ああ、前の人のだと思う。下に届いてたみたいでさ」「もったいないから、持ってきた」
そう言って彼は、なんでもないことのように笑ったのです。
