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問題児に言葉は届くのか――教師も施設職員も苦悩する『四月の余白』のリアル

問題児に言葉は届くのか――教師も施設職員も苦悩する『四月の余白』のリアル

©2026 N.R.E.

【LiLiCoオススメ肉食シネマ 第332回】『四月の余白』
元半グレで元受刑者の西健吾(一ノ瀬ワタル)は、更生施設「みらいの里」を運営し、非行少年や引きこもり、家庭に問題を抱える子供たちと向き合っている。そんなある日、暴力や犯罪を繰り返す生徒・澤海斗(上阪隼人)に頭を抱えていた中学校教師の草野冬子(夏帆)は「みらいの里」の存在を知り、海斗を施設へ預けることを決断。だが、海斗は寮生とトラブルを起こして脱走し、傷害事件を起こして逮捕されてしまい…。

年末賞レースを賑わせる予感…𠮷田恵輔監督が放つ新たな傑作

お仕事お疲れさまです。梅雨の時期は、カラッと空調が効いている映画館へ! 今年も折り返しですが、お気に入りの1本は見つかりましたか?

今回ご紹介するのは、間違いなく年末の賞レースに絡んでくる傑作です。𠮷田恵輔監督といえば、古田新太、松坂桃李の『空白』や、石原さとみ、青木崇高の『ミッシング』など、人間の醜さを隠さず描き、心を刺すような重厚なテーマが多い。

私が大好きな『しあわせな孤独』『アフター・ウェディング』で監督を務めたデンマークのスサンネ・ビアと𠮷田監督は、人間の描き方が同じ方向を向いてる気がするので、いつも期待しちゃいます。今回も、やられました!

子供たちの更生施設を運営する西健吾は、道を踏み外した子たちと体当たりで向き合っている。ある日、中学の教師・冬子から、海斗という手に負えない生徒についての相談が舞い込む。海斗を変えようと奮闘し始める西ですが、まったく思うようにいかず、施設にいる他の子たちとトラブルを起こしたり傷害事件で逮捕されてしまいます。このご時世、過去の出来事を掘り返されることも少なくなく、それで多くを失う人も…。

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見終えた後も胸を締めつける余韻

海斗を演じる上坂隼人が素晴らしい! そして施設にいる生島詩を演じる山﨑七海の存在感もすごい。また、西を演じる一ノ瀬ワタルは格闘家から転身した俳優で、私も元プロレスラーとして他人とは思えない。物語では、とある場面から突然、それまでの西のイメージを覆す変化に“ウワッ”と思いました。

ここでは、大人がみんな振り回されてしまう。意味のない暴力を振るう若者たちには、言葉で向き合ったところで何も響かない。教育だと言って手を上げることもできない。では、どうしたらいい? 一人一人の人物の心情に潜り込んでみると、頭を抱えてしまうほど社会と人の心が噛み合わない。そんなことを、𠮷田監督が見応えのあるエンターテインメントに仕上げたことがすごい。

この作品は、育った地域の治安が悪かった𠮷田監督自身の経験から、「この映画が教師の環境問題、理解を超えた子供との向き合い方を見つめ直すきっかけになれば幸いです」と監督は言います。

作品、監督、俳優、すべてに拍手を送りたいくらい素晴らしい作品だけれど、見終わると手が上がらないほど、心にずっしりきます。

『四月の余白』
監督・脚本:𠮷田恵輔 音楽:世武裕子 出演:一ノ瀬ワタル、夏帆、上阪隼人、篠原篤、占部房子、山﨑七海、和田庵、髙田万作、松木大輔、小沢まゆ、パトリック・ハーラン 配給:アークエンタテインメント 6月26日新宿ピカデリーほか全国公開

「週刊実話」7月2・9日号より

LiLiCo(リリコ)
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
配信元: 週刊実話WEB

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