揃いのハンガー
「模様替えしてみた」
そんな一言が添えられた写真をもう一度ひらき、私はクローゼットの端に目を凝らしました。服はかけ直され、ハンガーは同じ形のもので統一されています。以前カーディガンを掛けて持ち込んだまま、彼の部屋に置いてきた木のハンガー。その一本だけが、どこにも見当たりませんでした。
たいしたものではないはずなのに、彼の部屋で唯一私のものと呼べた場所が、ふっと消えた気がしました。
打ち込んでは消した一文
「あのハンガーは?」と打ち込んでみたものの、送る前にすべて消しました。たかがハンガー一本のことで問い詰めるなんて、重い女だと思われたくなかったのです。
代わりに当たり障りのない短い返事だけを送って、なんでもないふりを続けました。それでも一度気になりだすと、考えは勝手に広がっていきます。誰かが来て片づけたのだろうか。私の痕跡を、わざと消したのだろうか。答えの出ない問いばかりが積もって、私はその写真を何度も開き直していました。
