6月17日、NTTソノリティが「イヤホン使用と耳の健康に関するラウンドテーブル」を実施した。会場には、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の専門医・大場俊彦先生も登壇し、耳ケアの重要性について語った。
NTTソノリティが「耳の温暖化」で発生する耳トラブルの実態を調査
NTTソノリティでは、イヤホンを保有し、日常的に使用する全国の男女639名を対象に、“nwm(ヌーム)「夏のイヤホン使用と耳トラブルに関する実態調査」NTTソノリティ調べ”を実施。Z世代、働き世代、ヤングシニア世代の三世代を含む、実に15歳から69歳までのイヤホン事情を明らかにした。
その結果、イヤホンやヘッドホンを週3日以上使用する人は4割強であり、1日1時間以上使用する人は約半数。毎日使用する人の割合はZ世代で48.9%にのぼり、ヤングシニア世代の約2.5倍だと判明した。なお、働き世代はテレワークでの使用が多い。
全体の約6割が、夏のイヤホンやヘッドホンの使用に起因する不快感を経験。実に9割超が夏の身体負担増を実感しているが、一方で夏のケアで耳を意識している人は1割強だった。耳の温暖化で発生する耳カビに関しても、正しく知っている人は1割強。守るべき耳の健康が、十分に意識されていない現状がある。
世代別に見ると、耳トラブルリスクの質も変化する。Z世代は、長時間つけっぱなしにしたり、手入れをせず、友人とシェアしたりするなど、無防備に酷使する傾向がある。働き世代は、二人に一人がテレワーク会議中に耳のかゆみを感じているが、仕事や子育てで忙しく、後回しにしがちだ。ヤングシニア世代は、知識不足から予防策も治療も講じないまま放置し、諦めてしまっている状況だ。世代ごとに、まさに三者三様だ。
大場先生が「耳トラブル」を解説
「耳のトラブルは耳かきから来る」と話し始める大場先生。耳かき自体に直ちに問題があるわけではないが、耳カビが発生していた場合、耳かきでできた傷から悪化することがあるという。夏で耳の中が暑くなると、当然カビの発生率も増加する。
耳かきでできた傷に、繁殖したカビが入れば外耳炎になる。炎症を起こし、痛みや耳閉感などが生じる病気だ。初期はかゆみがあるだけなので、耳かきをすると気持ちがいい。だが、それを続けていると耐え難い痛みになっていく。炎症が悪化すると、外耳道を塞ぐほどに腫れることがある。
大場先生自身も、綿棒で耳かきを続けた結果、耐え難い痛みに見舞われた体験を語った。自らの体験も交えながら、注意を呼びかけた。
外耳炎を治すために抗生物質を使うのだが、これによって、常在菌の良い菌も悪い菌も殺してしまうことがある。すると菌交代現象が起き、その隙に菌やカビが繁殖して症状が悪化してしまうことがある。また、炎症を起こした患部からは、浸出液がにじみ出ることがある。これにはタンパク質が含まれており、カビが増える原因となる。
これらの結果、外耳炎から外耳道真菌症になってしまうことがある。外耳道真菌症には抗生物質は効かない。ひどくなれば、鼓膜が破れることもある。
耳にもアポクリン汗腺は存在しており、温度の上昇によって耳の中も汗をかく。するとかゆくなるので、リスクが増える。汗自体はにおいがないのだが、菌が繁殖していると、においがする。においがすると、気になって耳かきが止まらなくなる。
では、耳の温暖化による耳トラブルはどう対策すればいいのか。
かゆくても耳の中は極力触らないようにする。耳垢はベルトコンベアのように自然に外へ流れてくるため、耳かきは月に1〜2回までにとどめたい。
耳が濡れたままイヤホンをつけることは、絶対に避けたい。耳の中がサウナ状態になり、カビや細菌が一気に増殖してしまうためだ。
長時間イヤホンやヘッドホンを使用すると、耳の中の温湿度が上がるので、1時間に10分は耳を休ませるようにする。また、イヤホンやヘッドホン自体も週1回は手入れをし、汗や皮脂、耳垢を取り除く。
そして、耳を塞がないイヤホンやヘッドホンを選ぶようにする。密閉は温湿度を上げることになる。高齢者の中には、夏になるとかゆみを理由に補聴器をつけなくなる人もいる。オープンタイプであれば、そうした問題を解消できる。
