スウェーデン戦を1−1で引き分け、グループ2位で決勝トーナメント進出を決めた日本代表。ラウンド32の相手はサッカー王国ブラジルだ。負傷者続出、トーナメントの厳しい組み合わせに不安の声も上がるが、ヒューストン開催や主力温存など追い風もある。
本気のブラジル相手に歴史的勝利の再現なるか
日本代表が、いよいよ未知の領域に足を踏み入れる。
6月26日、北中米W杯グループステージ最終戦でスウェーデン代表と対戦した日本は、1−1で引き分け。グループ2位で決勝トーナメント進出を決めた。目標に掲げる「優勝」へ、まずは最低限の関門を突破した形だ。
しかし、決勝トーナメント1回戦の相手は、サッカー王国・ブラジル代表に決まり、SNS上にはため息にも似た反応が広がった。
「いきなりブラジルはきつすぎるし、日本いるブロックえぐすぎるべ笑」
「仮にブラジルに勝った後も恐らくノルウェーはきつすぎる。まじでくじ運が終わり過ぎてる」
「優勝を狙うならどこかで強豪とは当たるけど、初戦ブラジルはさすがに心臓に悪い」
悲観的な声が出るのも無理はない。たしかに日本代表は昨年10月の親善試合でブラジルを3−2と日本サッカー史に残る歴史的勝利をおさめている。だが、親善試合とW杯本大会の決勝トーナメントでは、ブラジルの本気度もまるで違うだろう。
現に昨年の親善試合にスタメンで出場していたセンターバック2人は、今大会の代表メンバーに選出すらされていない。相手も当然、前回の敗戦を踏まえてくる。世界屈指の個の力を持つアタッカー陣が、最初から本気で日本の弱点を突きにくる展開は十分に考えられる。
さらに日本にとって気がかりなのは、コンディション面だ。スウェーデン戦の前半で交代した板倉滉や第2戦、第3戦を欠場している久保建英ら、チームの中核を担ってきた選手たちに負傷の不安が出ている。
久保はリハビリを続けており、復帰の可能性は残されているものの、万全の状態で戻れるかはまだ見通せない。決勝トーナメントは、ひとつのミスがそのまま敗退に直結する舞台。主力の状態が読み切れないことは、大きな不安材料だ。
ただし、暗い話ばかりではない。
強豪撃破へ日本代表に残された勝機
まず、決勝トーナメント1回戦の開催地がヒューストンであることは、日本にとって小さくない追い風だ。日本代表のキャンプ地であるナッシュビルから比較的移動負担が少なく、時差や環境変化の影響を最小限に抑えやすい。
加えて、会場は空調の効いたスタジアム。北中米W杯では各地の暑さや湿度が選手の消耗に直結しているが、涼しい環境で試合に入れることは、走力と組織力を武器にする日本にとって大きい。
スウェーデン戦で主力の一部を温存できたことも見逃せない。冨安健洋、佐野海舟らは、ブラジル戦を見据えたうえで状態を整えられる可能性がある。特に冨安の存在は大きい。ブラジルの強烈なサイド攻撃や、中央に侵入してくるアタッカーを止めるには、対人守備、カバーリング、ビルドアップのすべてで高い水準が求められる。冨安がどこまでプレータイムを伸ばせるかは、日本の守備設計を大きく左右するだろう。
佐野もまた、中盤の強度を保つうえで重要な存在だ。ブラジル相手にボール保持で上回る時間を長く作ることは簡単ではない。だからこそ、奪われた直後の切り替え、セカンドボールの回収、相手のカウンターを遅らせる守備が重要になる。そこで佐野の機動力と球際の強さが生きれば、日本は一方的に押し込まれる展開を避けられる。
そして、久保が戻ってこられるなら、攻撃面の選択肢は一気に広がる。ブラジルの守備を相手に、ただ耐えるだけでは勝利は見えない。相手のプレスを外し、ファウルを誘い、数少ないチャンスを決定機に変えるには、狭い局面で違いを作れる選手が必要になる。久保の左足は、その意味で日本の希望そのものだ。
もちろん、ブラジルに勝つことは簡単ではない。過去に一度勝ったからといって、同じことが繰り返せるほど甘い相手ではない。W杯本戦のブラジルは、親善試合とは違う集中力と勝負強さを見せてくるはずだ。前回対戦で日本が見せた勇敢な守備、後半からの修正力、そして一気に試合をひっくり返す爆発力を、さらに高いレベルで再現できるかが問われる。

