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永作博美『My Home town』が映す“乙女塾の記憶”と1993年の美メロ遺産【スージー鈴木の週刊歌謡実話第38回】

永作博美『My Home town』が映す“乙女塾の記憶”と1993年の美メロ遺産【スージー鈴木の週刊歌謡実話第38回】

永作博美『My Home town』

【スージー鈴木の週刊歌謡実話第38回】
永作博美『My Home town』
作詞:秋谷銀四郎
作曲:黒沢健一
編曲:亀田誠治 
1993年8月4日発売

ドラマの中で自然に輝く永作博美という存在

そろそろいいですかね? 平成モノ。

これまで40曲近く、女性アイドルを中心に昭和歌謡を紹介してきたのですが、いよいよ平成、いよいよ1990年代に向かいます。

今回は’93年の曲。もう33年も前なのか。早っ。

いやいや、ご安心ください。’93年といっても、ビーイング系や小室哲哉には行きません。ほんのりアイドルテイストのある歌手のほんのり歌謡曲テイストのある曲にしますので。

さて、永作博美のこの曲、ご存じの方はいますかね。いたら、お友だちになりたいと思う。

’93年、この曲に注目して、短冊形のCDシングルを買った人に、悪い人はいないでしょう。だって、他ならぬ私がそうなのですから。

なぜ今、永作博美の話をしたくなったのか。先日、最終回を迎えたTBS系ドラマ『時すでにおスシ!?』が最高だったからです。

タイトルのダジャレはいただけませんが、夫を亡くし、子離れに苦しみながら、寿司職人養成学校(?)に通う主婦役=永作博美が、まぁ、とにかくチャーミングでよかった。

そしてボケてボケてボケまくるノリノリの松山ケンイチも最高(今年のドラマ界暫定MVP)。また昨年、同時間帯のTBS系『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で目立った杏花も、スーパーの店員役で存在感を発揮していました。

そんな永作博美。主役を張れるということは、演技力があるということですが、よくありがちな「嫌味な演技力」じゃない。台本に自然に溶け込み、自然に演技をする、そのたたずまいがいいんですよ。

スージー鈴木の週刊歌謡実話】アーカイブ

23歳の歌声に宿っていた女優の資質

さて、私は「演技力のある俳優は歌もうまい」という仮説を持っています。特に最近の若手女性俳優は、みな一様に歌がうまい。その先駆けではないでしょうか、永作博美は。

’70年生まれ、現在55歳らしいですが、この曲がリリースされた’93年には、23歳。

フジテレビ系『パラダイスGoGo!!』の、その名も懐かしい「乙女塾」出身。3人組アイドル「ribbon」で活動しながら、この曲でソロデビュー。

「おニャン子クラブ」に対して、今やほとんど語られることのない乙女塾ですが、永作博美がいる限り、忘れ去られることはない。絶対にない。
 
俳優として大成する彼女の才能が活きたのでしょう。デビュー曲にもかかわらず、歌詞に自然に溶け込んで、自然に歌っているさまが聴かせます。

また、当時「L⇔R」というグループで活動していた黒沢健一による美メロや、旅立ちの瞬間に故郷を思うという、秋谷銀四郎による歌詞世界も、今聴いてもいい。というか、今聴くからこそ、さらにいい。

いい曲だなぁ。みんな再評価してくれないかしら。

なお、美メロを生み出した黒沢健一は10年前、2016年に早逝。『My Home Town』同様、彼の再評価も希望するところです。

「週刊実話」7月2・9日号より

スージー鈴木/音楽評論家
1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。
配信元: 週刊実話WEB

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