
大泉洋が3都市7公演で計4万8000人を動員したアリーナツアー「芸能生活30周年記念!! 大泉洋リサイタル2 -リベンジ-」最終公演を、6月21日に神奈川・横浜アリーナで行った。
■いきなりフライングで登場という型破りなオープニング
2024年2月2日、初のリサイタルツアー最終日の日本武道館公演。クライマックスのピアノ弾き語りによる「ハナ~僕とじいちゃんと」のイントロを7回連続でミスをするという痛恨の極みで締めくくった大泉。今回のタイトルに付けられた「リベンジ」の文字に、大泉の今ツアーへの並々ならぬ思いが感じられる。
日本武道館公演は、アリーナライブの王道といえる大型LEDスクリーン完備のメインステージ、センターステージと花道というステージ構成。1万2000人の子猫ちゃん(大泉ファンの呼称)が待ち望む中、開演時間が近づくと大泉本人による影アナ(場内アナウンス)が流れ、携帯電話マナーについての注意喚起から「他のお客さまのご迷惑となる行為。例えばオナラ。マナーモードにするか、(曲の)拍子に合わせてこいてください」「出演アーティストへの野次暴言もお気を付けください。初めてのアリーナツアー、『やめときゃよかった』と思っております」と、既に影アナからリサイタルは始まっていた。
「それでは練習しておきましょう。横浜アリーナ、盛り上がってますか~!? 収録も入ってますよ~?」とあおると、子猫ちゃん一同が「イエーイ!!」と応える。そして、大泉が公演タイトルをコールしてライブ本編がスタートした。
田原俊彦の1988年のヒット曲「抱きしめてTONIGHT」のイントロが盛大に轟くと、8人のダンサーズが原曲振り付け完コピで踊り出し、ステージ後方の高台から白いジャケット&開襟シャツ姿の大泉が堂々と登場。軽く鼻から抜くようなトシちゃんリスペクトなボーカルを聴かせたかと思ったら、いきなり飛んだ。
■「『吊られてる』とか言う人がいるけど“フライング”です」
まさかの冒頭からのフライングに場内は大爆笑&大喝采。スクリーンに薔薇のグラフィックが舞う中、当の主役は悠々と飛行しセンターステージに降臨…せずに、床面スレスレに後退してメインステージの高台に帰還。着地すると思いきや奈落の底へ。「下がっちゃってる!! 上げてください!?」と、カオスな余韻の中、アリーナ上方で吊られたままの大泉があいさつした。
「横浜、盛り上がってますか~? ライブ・ビューイングも盛り上がってよ~? もう、下げてもらっていいですか? 昨日も言ったでしょ? 『穴(奈落)、塞いといて!』って」とスタッフにお約束の恨み節をボヤきつつ、「どう? 最初から飛ぶとは思わなかったでしょ?」とドヤ顔を見せた。
「『吊られてる』とか言う人がいるけど“フライング”です。堂本光一くんがやってるやつです。みんな何が面白くてそんなに笑ってるの?」と子猫ちゃんたちに問いただす。実はこの日のために自身も「抱きしめてTONIGHT」の振り付けを必死にマスターしたものの、「穴(奈落)に落ちる面白さ」に抗えなかったという。
そこで急きょダンサーズを招集し、曲のエンディングのみをやり直し。華麗にダンスを決めて場内大喝采。「うまくいったね」と振り付けのRENA先生に感謝し、「これで思い残すことはない」と笑顔を見せた。
ちなみに、今ツアーの1曲目は札幌ではHOUND DOGの「ff(フォルティシモ)」、神戸では槇原敬之の「どんなときも。」と、各会場で異なるカバー曲を披露。そして、この時点で歌唱1曲にもかかわらず開演から18分が経過していた。


■幾田りら、玉置浩二が提供する新曲を披露
場内を埋め尽くすひまわり型のツアーグッズ“ハナペンライト”を「たんぽぽみたい」と素で間違え、会場の笑いを誘いつつ、センター、アリーナ、スタンド、立ち見と超満員のエリアごとに「いけますか~!?」と丁寧に呼びかけ、「ふわり」へ。無線制御のハナペンライトで緑一色に染まった草原のような客席に気持ちの入った歌声を聴かせる。
続く「コラーゲン。」では、シアターネオン風のグラフィックをバックにダンサーズと軽快なパフォーマンスを届け、「本日のスープ」ではイントロから観客と大合唱。無数のハナペンライトがオレンジ色に照らされ、会場に温かな一体感が生まれた。
ここで休憩。水を飲む姿にも「フーッ!!」と歓声をおくる子猫ちゃんたちに、「いやー、楽しいですわ」と満足げな笑顔を返す大泉。「誰もいないアリーナ(のリハ)で一人吊られていたときはどうしようかと。皆さんあっての私です」と感謝を伝え、8月12日(水)にリリースする新作EP『感謝しかございません』収録曲を披露する新曲コーナーに突入した。
「(レコーディングで)『素晴らしい。あとはリズムに乗るだけです!』と励ましてくれた」という幾田りらとの制作エピソードを披露し、「なんてことない日々」へ。弾むリズムに乗って、日常や家族の尊さを軽快に歌い上げた。続くMCでは、前曲の流れから「パパの目は二重だし、涙袋もあって理想の目。なのに、いったい何が台無しにしてるんだろう」と実娘との会話を紹介すると会場に大きな拍手の音が響いた。
続いての新曲は、玉置浩二提供の「陽炎」。実は同じく玉置提供の既出曲「あの空に立つ塔のように」よりも先に誕生していたという秘話を挟んで、今回は松本圭司のアコーディオンとともにパフォーマンス。叙情的な音色にスパニッシュ調のギターが絡む。同曲がエンディングテーマを務めたテレビアニメ「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」のスクリーン映像と特効の炎がせつなくも力強い歌詞をもり立てた。
■「水曜どうでしょう」藤村・嬉野Dも参戦した抱腹絶倒の幕間映像
ここで、4月20日に収録した「水曜どうでしょう」藤村忠寿・嬉野雅道両ディレクターとの対話映像が流れた。今回も「できれば頼みたくない。でも、おしゃれなクリエーターに頼むと時間がかかる」と無礼にも程があるギリギリの納期(ツアー初日は5月30日)で幕間映像を発注する大泉に「(初日は)いつだって聞いてんだよ!?」と怒号で切り返す藤村ディレクター。そのやりとりに場内には笑い声が響く。
最終的に、前回の「客が失禁するほどの面白さ」から一転、今回は充実の新曲群に見合う「格好良さ」で攻めようと方向性が定まり、「水曜どうでしょう」1998年放送の海外企画「香港大観光旅行」における忠臣蔵・大石内蔵助役の話題から、「今一度、格好良い内蔵助を」というまさかの忠臣蔵リベンジプランに着地した。
そして、黒ジャケット&ネクタイ姿に着替えた大泉がステージに登場。続いての新曲は10年来の付き合いというジャズピアニスト・小曽根真提供の「Welcome to Arena」。大泉と同じ中学出身の松本圭司と当時の思い出を語り合い、松本の流麗なピアノソロから歌へ。ファンへの思いをジャズ・スタンダード風味で届けた。
さらに、「歌にすれば(両親に感謝を)言える」と語り、「何度でも歌うから」というリフレインが印象的な小曽根提供の「ありがとう」を披露。歌唱後、「奇しくも今日は父の日でしたね」と照れくさそうにほほ笑んだ。
スクリーンは、再び5月15日収録の忠臣蔵撮影風景に。本職の役者らの助けも借りて、抱腹絶倒の(もう二度と内蔵助役のオファーは来ないのでは?という意味で)「大泉洋・最後の忠臣蔵」が完成。妙に本格的な殺陣を経て、1998年当時、「みなのもの!」と「ものども!」がごっちゃになって発した「みなのども!」も完全再現。何だか勇ましい「次の曲、どうぞー!!」で、この日のMAX値に達した子猫ちゃんたちの爆笑を前に「横浜に人の心は無いのか!?」と呆れ顔の大泉。


■「頑張れ~!」「落ち着いてこ~?」「リラックス~!」の声が飛び交う
バンドメンバーを紹介した後、「盛り上がっていきましょうよ!」とスキマスイッチ提供の新曲「みんなのYEAH!!!」を披露。スクリーンに気球の映像、客席には特大バルーンボールが解放され、銀テープも発射。その爽快さのまま、ダンサーズとともに「キラーチューン!」へ。
投げキッスを決めると、お次はレーザービームとスポットライトの光が飛び交う中、再びフライングで「スマッシュヒットLOVEバシーン!」を歌唱した。サビに合わせてまたもフライング。キャディさんも登場し、同曲の恒例行事とも言える客席へのナイスショット乱れ打ちも忘れない。さらに「疾れ!」では、曲の疾走感に合わせて子猫ちゃんたちのタオルやペンライトが回転乱舞の大盛り上がり。ステージ上には火柱、最後は花火が一閃し、まさに怒涛の攻勢となった。
再びスクリーンに5月15日収録の映像が流れ、“竹とんぼの洋”が登場する「必殺仕事人」の撮影風景が映し出された。BGMは許諾なしで済むようにと、大泉が自らあのメロディーを歌唱。内蔵助からの白塗り顔のせいで「スマホのフェイスIDもきかない」状態でやはり粛々と撮影が進む様子が見られた。「次の俳優が決まっていないからアピールしとこう」とジェームズ・ボンドまで追加で演じることに。
白塗りのままタキシードに着替え、BGMはやはり許諾逃れのため太鼓でたたく「ジェームズ音頭」。かくして「必殺仕事人」から何のためらいもなくボンド映画名物のガンバレルシーンにつながり、「次の曲、どうぞ!!」。すると前回の武道館公演7回連続ミスの映像が流れ、センターステージにピアノが登場。ついにリベンジの瞬間がやってきた。
「頑張れ~!」「落ち着いてこ~?」「リラックス~!」と、通常の横浜アリーナではまず聞かれない声援が飛び交い、大泉の指が「ハナ~僕とじいちゃんと」のイントロを奏で、見事ノーミスで歌唱へ。「リベンジしたぞー!!」と喜び、黄色のハナペンライトとスクリーン映像によるひまわりが会場いっぱいに咲き誇る中、最後は場内にアカペラの大合唱がこだました。
大泉は「何とか全公演、リベンジすることができました!」と感謝を伝え、情報番組「DayDay.」(日本テレビ系)7月のエンディングテーマに決まった「ひざこぞう」(ゆず・北川悠仁提供)を歌って本編の幕を閉じた。スクリーンには、大泉の幼少期のスナップと無数のヒストリースナップの集合で象られた「30周年ありがとう」の文字が燦然と輝いていた。
■「皆さんは私に『愛してるよー!!』と叫びに来たんでしょ~!?」
アンコールでは、札幌市にかつて存在していた塔の写真をバックに「あの空に立つ塔のように」を熱唱。さらに「もう一曲だけピアノ弾いていいですか?」と中島みゆきの「糸」をピアノの弾き語りで披露した。札幌2日間と神戸初日に失敗し、スタッフからも「『糸』は止めたら?」と言われていたそうだが、「何とか4勝3敗で勝ち越しました」とアピール。
「皆さんは私に『愛してるよー!!』と叫びに来たんでしょ~!?」と煽って、サンバ調の新曲「バカね…夏」へ。「L・O・V・Eレッツゴー洋ちゃん!!」のラブコールが盛大に響き渡ると、その勢いのまま「バカね」につなぎ、翼型のトロッコに乗って会場の隅々まで熱唱を届けに行った
何度も「ありがとう」を繰り返し、「また元気に集まろう!」「がんばろう!頑張れよ~!?」「お前らには俺がついてる!!」「俺にはおまえたちがついてる!!」と溢れる思いを叫び続ける大泉。最後は「今日は晴れの空」という一節を見事なロングブレスで歌い上げフィニッシュ。
記念撮影タイムでは、入場時に配られていたカラーシートを全子猫ちゃんたちが掲げ、大泉に「アイシテルヨー」の文字とハートマークをプレゼントするというサプライズが大成功。大泉から「またリサイタルやります! やみつきです!! それまで誰一人死なないでください」という固い約束も飛び出し、およそ3時間、全18曲に及ぶリサイタルの幕が下ろされた。


■「芸能生活30周年記念!! 大泉洋リサイタル2 -リベンジ-」
◇6月21日(土)昼4:00開演◇神奈川・横浜アリーナ
<セットリスト>
M01. 抱きしめてTONIGHT(カバー)
M02. ふわり
M03. コラーゲン。
M04. 本日のスープ
M05. なんてことない日々
M06. 陽炎
M07. Welcome to Arena
M08. ありがとう
M09. みんなのYEAH!!!
M10. キラーチューン!
M11. スマッシュヒットLOVEバシーン!
M12. 疾れ
M13. ハナ~僕とじいちゃんと
M14. ひざこぞう
~アンコール~
EN1. あの空に立つ塔のように
EN2. 糸(カバー)
EN3. バカね…夏
EN4. バカね

