世界各地の万博に通い、「万博おばあちゃん」の愛称で親しまれる山田外美代さん(76)が9月5日、万博を訪れた最多日数(648日)で、ギネス世界記録に認定された。今回の大阪・関西万博も、開幕初日から毎日通い、現在も記録を更新中だ。そんな“万博おばあちゃん”に今月13日で閉幕を迎える大阪・関西万博を総括してもらった。
ギネス認定の“万博おばあちゃん”、会期中一番の思い出は?
「万博に通い始めて早20年。この日を迎えられたのは、多くの国の方々からの応援と後押しがあったから。みなさんへの感謝を胸に、今後もギネス記録を更新しつづけたいです」
そう喜びを語るのは、「万博おばあちゃん」こと山田外美代さん(76)。9月5日時点で「万博を訪れた最多日数」(8カ国11会場、累計648日)を更新し、ギネス世界記録に認定された。現在もその記録を更新中だ。
20年前に地元・愛知で開催された「愛・地球博」に毎日通ったことで、当時「万博お母さん」「万博おばさん」の愛称で親しまれ、一躍、時の人に。その後も万博愛は冷めることなく、韓国や中国、ドバイなど世界各国の万博に足を運び続けた。
そして2025年の大阪・関西万博も“皆勤”を狙うべく、昨年12月に会場近くに部屋を借り、夫と息子を引き連れて愛知からお引っ越し。会期中のチケット代や引っ越し代、交通費など万博のために計350万円を投入するほどの力の入れようだった。
体調面を考慮し、滞在時間は1日3時間程度だが、病院の通院日でさえ、早朝に入場して参観後は速やかに退場するなど、“皆勤”への強い意欲を見せた。
そんな山田さんに、会期中で一番うれしかった思い出を聞いてみると、
「一番はやはり開幕日ですね。私たちの万博は2017年の誘致活動から始まり、開催国決定時には大阪のみなさんと道頓堀で万歳して喜び合い、開幕1000日前、600日前など節目のたびに夢洲会場に足を運びました。だからこそ、初めて会場に足を踏み入れた瞬間の高揚感と感動は、今でも忘れられないです」(山田さん、以下同)
大屋根リング、ネット予約、並ばない…大阪・関西万博をズバリ総括
会期中、あらゆるパビリオンを巡った山田さん。最も印象に残ったパビリオンは、「国連館」と「国際赤十字・赤新月運動館」の2つだったというが、その理由を聞いてみると、
「『国連館』は“人類は団結したとき最も強くなる”、『国際赤十字・赤新月運動館』は“人間を救うのは、人間だ”というそれぞれに強いメッセージ性を感じました。もう一度、人間らしい生活とは何かに立ち返ることが必要だと思いました」
と熱く語ってくれた。そのうえで、今回の万博の特徴について気付いた点も。
「今回は『あなたの願い』を書かせたパビリオンが非常に多かったです。先行き不透明な世の中だからこそ、少しでも先の未来を見ていこうということなのでしょう。夜のドローンショーも含め、会場内で一体感を感じさせる演出も多かったと思います」
と、分析した。開幕前は、メタンガス爆発や海外パビリオンの建設遅れなどネガティブな情報が渦巻いたが、開幕後はSNSの口コミを中心に注目度があがり、みごと大盛況となった大阪・関西万博。改めて山田さんに「総括」を伺うと、
「『並ばない万博』って言ってましたけど、結局『並ぶ万博』でした。予約が取れないと嘆くより、並んででも入れる安心感が勝ったのでしょう。ただパビリオンに入っても予約を取るため、ずっとスマホをいじっている人が多かったのは、もったいないなと感じました」
と、振り返った。今回はパビリオンの予約だけでなく、会場の案内地図も含め、全てアプリに集約された“スマホ万博”ともいわれたが、
「結局『リアルに勝るものはなし』ということが分かった万博だったと思います。地図も紙に印刷して持参する人が多かったですし。会場で本物に触れたり、現地の人と話すことで“リアルの良さ”を体感した人も多かったと思います」
その一方、今回の万博のシンボルになった大屋根リングについては、
「多様でありながら一つを感じさせる場所としてとても良かった。大屋根リングを見れただけで『来た甲斐があった』と感動する人がたくさんいました。リングを歩きながら小さな地球を感じられた人も多かったはずです」
と大絶賛した。

