いつもなら、笑って背中を押してくれる人
彼は相談ごとに、いつも明るく返事をくれる人でした。バイトの愚痴も、友達とのちょっとしたもめごとも、送れば数分で「大丈夫だよ」と言葉が並びます。落ち込んでいる日でも、彼の返事を読むと、なんとなく前を向けるのでした。
だから今回も、迷わず話したのです。前から考えていた、一年の留学のこと。彼ならきっと、いつもみたいに笑って「行ってきなよ」と言ってくれる。そう思っていました。
ところが、その相談だけは、いつまでたっても返事が来ません。会ったときも、ほかの話はするのに、留学の話題だけはふわっとそらされてしまいます。
彼のスマホで見てしまったもの
その日は、休みが重なって、久しぶりにふたりでカフェにいました。話が止まったとき、彼がスマホを取り出して、なにかを見たあと「ちょっと」とトイレへ席を立ちました。画面はついたまま、テーブルの真ん中に置かれていました。
見るつもりはありませんでした。ただ、目に入ったのです。メモアプリが開かれていて、一番上に「相談 保留メモ」というタイトルがありました。
その下に書かれていたのは、私の名前と、最後に私が送った相談内容でした。
