聞いたことのない、宝飾店の名前
彼の口から、ジュエリー店に行ったという話は一度も聞いたことがありません。男の人がわざわざ女物の店に出向く用事といえば、私の中ではひとつしか思い浮かびませんでした。私の知らない誰かへの贈り物を、彼はこっそり用意しているのではないか。料理の味を褒める言葉も、もう頭から消えていきました。
日ごとに短くなっていく返信
写真のことを問いただす勇気は出せず、私はメッセージで「おいしそう」とだけ返しました。それからの彼は、忙しいという返事ばかりで、会う約束にも気乗りしない様子です。あの伝票と、そっけない態度とが、私の中で一本の線につながっていきました。一度そう思い込むと、別のを考えを探す気力さえ湧いてきませんでした。
