多職種連携は合併症予防の鍵になるか

糖尿病において問題となるのは、血糖値そのものだけではない。長期間にわたり適切な管理が行われない場合、神経障害や腎症、網膜症、足病変などの合併症につながる可能性がある。
松本クリニックでは、日本フットケア・足病医学会認定のフットケア指導士資格を持つ看護師による指導のほか、管理栄養士による栄養指導、理学療法士による運動指導を実施しているという。同院は、多職種が関与することで患者の日常生活に即した支援を目指している。
生活習慣病対策は「知識を得ること」と「実際に行動を継続すること」の間に大きな隔たりがあるとされる。そのため、医師だけでなく専門職が継続的に関与する体制は、患者にとっての選択肢の一つとなり得る。一方で、多職種連携を維持するためには人材確保や運営コストが必要となる。地域によっては専門職不足も指摘されており、こうした体制をどのように持続可能な形で普及させるかが今後の課題となる。
地域医療に求められる「相談できる窓口」
高齢化が進むなかで、地域医療機関には治療だけでなく、住民の健康相談窓口としての役割も期待されている。
松本氏は、患者が専門用語を理解することを前提とせず、できるだけわかりやすい説明を行うことを重視していると話す。また、自院で対応が難しい症例については急性期病院などへ紹介し、地域の医療機関と連携しながら診療を進めているという。近年は患者自身が治療方針の決定に参加する「共同意思決定(Shared Decision Making)」の重要性も指摘されている。生活習慣病のように長期間付き合う疾患では、医療者が一方的に治療を決めるのではなく、患者が理解し納得したうえで治療を継続することが重要とされる。
ただし、こうした関係性の構築は短期間で実現できるものではない。地域医療の質は、医師個人の経験やコミュニケーション能力に依存しやすい面もある。今後は個人の力量だけに頼らず、地域全体で継続的な支援体制を構築できるかが試金石となりそうだ。

【取材協力】
医療法人松徳会 松本クリニック
院長 松本和隆氏
http://www.matumoto-clinic.jp/

