
CMディレクターとして「トンボ鉛筆」や「日本医師会」、「資生堂」など多くのCMを演出し、『tokyo.sora』、『好きだ、』、『ペタルダンス』(13)などを手がけた石川の最新作となる本作。『好きだ、』ではニュー・モントリオール国際映画祭最優秀監督賞を受賞するなど国内外で注目を集めてきた石川が、『ペタルダンス』以来13年ぶりにメガホンをとる。奈緒が演じるのは、広告会社で働く29歳の非正規WEBデザイナーのみつ。「人のこころを動かす仕事がしたい」と願いながらも、正社員にはなれないまま29歳になった。彼女はさまざまな人との出会いや再会を通して、それまで胸の内にしまい込んでいた理不尽や迷いを初めて言葉にしていく。"誰かに本音を話せた"、そのささやかな出来事が、止まっていたみつの心を静かに動かしていく。
このたび解禁されたイメージビジュアルは、空を背景にタイトルと「あを」の意味だけが記されたシンプルな1枚。作品世界を象徴する「あを」という言葉の意味が明らかになった。「あを」は「青(あお)」の古語。光の感覚や青だけではない様々な色相を表す。あるいは未熟という意味を持つ。本作で描かれるのは、迷いや未熟さを抱えながら、それでも誰かと心を通わせたいと願う人々の「あを」の情だ。石川監督ならではの繊細なまなざしが、誰かとわかりあえた気がしたその一瞬の尊さを静かにすくい上げていく。
主演の奈緒は、本作のクランクアップ時に「もしいままでの日々がこの石川組と出会わせてくれたとするなら、これまでの人生で出会ったせつなさも心から受け止められると思った」とコメントし、本作への強い思い入れを語った。
また、本作の公開決定を記念し、テアトル新宿とヒューマントラストシネマ渋谷の2館限定で、イメージビジュアルを使用したA5サイズのミニチラシの配布およびポスター掲出も決定。裏面は劇場でしか手に入らない特別なビジュアルが掲載されており、いち早く作品世界に触れられる機会となっている。
迷いや未熟さを抱えながらも、誰かと心を通わせたいと願う人々の"あを"の情を描く本作に期待が高まる。
■<キャスト、監督コメント>
●奈緒(主演)
「憧れの石川寛監督と出会い、私は『あを』という言葉の広さを知りました。未熟なだけだった自分と幸せなサヨナラをして、私の歩みは少しだけ加速し始めました。きっと、東京という忙しないこの街で、今日も誰かが人知れず立ち止まり、そして静かに進み始めるのでしょう。あまりに純度の高い撮影の日々のなか、何度心のなかで『私は石川組が好きだ。』と言い切ったのか数え切れません。きっとこの作品が静かに、誰かに届くことを心から信じています」
●石川寛(監督、脚本、編集)
「映画に残せるものについて思い考えた時期があります。人の、ささいなことでゆれ、うつりゆく感情の流れを残したい。それがはじまりでした。僕らの日常に起こりうるささいなことに、自分が通ってきたいくつかの感情、出会ってきた人たちの感情をかさねあわせ、脚本を書きました。はじめて相手の言葉をきき、こころがゆれ、そこを通ってきた言葉をはじめて相手に投げかける。そんなふうに役の感情を生き、そこにいることができる役者の人たち。その人たちの感情表現に、幾度となくこころふるえました。未熟かもしれない頃の感情の、ゆれて刻々とうごいていくさま、そのあいまいな境目、うつりゆく時間。それを感じてなにを思い考えてもらえるか。スタッフ、役者のみなさん一人一人と、こころをこめてつくりました」
文/鈴木レイヤ
