
北条司原作の伝説的作品「キャッツ・アイ」の完全新作アニメの第3話「やっかいな恋」が10月10日に配信された。第3話では、来生三姉妹の三女・愛(CV:花守ゆみり)の恋模様から、あらためて三姉妹の強い絆が描かれた。(以下、ネタバレを含みます)
■次女だけでなく三女にも“やっかいな恋”の芽生え
「キャッツ・アイ」は1981年から1984年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された北条司の連載デビュー作で、1983年にテレビアニメ化されて大ヒットを記録。杏里が歌う主題歌「CAT’S EYE」も1980年代を代表するヒット曲の一つとなった。今作では原作へのリスペクトを感じさせながらも“令和”の時代にアップデートされている部分も多く、原作ファンや1980年代に放送されていた旧アニメのファンだけでなく、若い層からも注目を集めている。
長女・泪(CV:小清水亜美)、次女・瞳(CV:小松未可子)、三女・愛の来生三姉妹は、昼は喫茶店「CAT’S EYE」を営み、夜は美術品を盗む“怪盗”という2つの顔を持っている。3人が狙うのは父親がかつて収集していたコレクションと父親が描いた絵画。それらを集めることによって、行方不明になっている父親の手がかりが見つかるのではないかと思っている。それと、“キャッツアイ”と名乗って予告して派手に盗むことで、自分たちの存在を父親に気付いてもらいたいという思いも込められている。
“やっかい”なのは、瞳が高校生の頃から付き合っている恋人・内海俊夫(CV:佐藤拓也)が刑事だということ。キャッツアイを捕まえることに闘志を燃やし、キャッツアイを捕まえたら瞳にプロポーズしようと考えているが、捕まえたときに2人の恋は終わってしまう運命となっている…。泥棒と刑事という禁断の恋、言ってしまえば“やっかいな恋”に瞳はずっと悩んできたが、第3話では三女の愛までもが悩まされることに。
今回、キャッツアイが狙うのは大橋美術館で開催されている「英国美術展」に展示されている絵画「湖畔の家」。作者名は“クラナッフ”となっているが、瞳と泪はこれを父親の作品だと確信。瞳は俊夫をデートに誘い、一緒に美術館を訪れて下見をすることにした。
■愛が気になる相手は美術館の警備担当の息子
デート当日、俊夫が車で瞳のもとへ行く途中、学校に遅刻しそうな愛に声をかけられ、学校まで車で送ることになった。俊夫と瞳も愛が通う高校の卒業生ということで、愛の制服を見て俊夫は高校時代を懐かしむ。学校に到着する手前で愛は車を降り、同級生の河野修平(CV:川島零士)に声をかけて一緒に校内へ。どうやら、まだ付き合ってはいないものの愛は彼に気があるようだ。
瞳との待ち合わせに遅刻してしまったが、理由を聞いて瞳は俊夫を許し、美術館デート兼下見を楽しんだ。今回のエピソードは原作の第3話「やっかいな恋」がベースになっているが、美術館がハイテクなところは令和の時代ならではのアレンジになっている。
瞳が絵を盗むための下見を兼ねているのと同じく、俊夫も刑事としてキャッツアイから美術品を守るための下見も兼ねているようだ。キャッツアイがクラナッフの作品を多く盗んでいることから、俊夫も「湖畔の家」に目を付けている。それを知った瞳が「俊夫ならどうやってあの絵を守るの?」とさりげなく探りを入れるが、「一般客のフリして下見してる可能性もあるし」と俊夫もしっかりと警戒している様子。ただ、瞳がキャッツアイだとは微塵も思っていない。
そんなやりとりをしている2人の視界に、愛と修平の姿が。2人がちょっとしたトラブルに巻き込まれ、それを俊夫たちが収めに行ったとき、大橋美術館の警備担当課長の河野正(CV:村治学)と出会った。この人物が修平の父親だと知り、瞳は動揺する。愛が修平のことを好きなことは見ていて分かったが、絵を盗むとなると修平の父親・正に責任が及ぶことになるためだ。
美術館の館長を務める小田島(楠見尚己)という人物は見るからに横柄な性格で、なぜか正を目の敵にしている様子。
それもあって瞳は、「湖畔の家」を盗む計画を愛には内緒にして進めようとするが、愛はキャッツアイから予告状が届いたことを知った修平経由で知ってしまう。まさに“やっかい”な状況になってしまった。
■「湖畔の家」を盗むと…正はクビに
大橋美術館から「湖畔の家」を盗んでしまうと、館長の小田島が警備担当課長の正に責任を押し付けてクビにすることは目に見えている。そうなると父親と一緒に美術館で働きたいという修平の夢もつぶしてしまうことになる。愛の気持ちを考えると、それだけは避けてあげたいと思うが、瞳はそれでも盗みを決行することにした。クラナッフ名義の絵画だけど、それは父親の描いた作品で、どこにあっても必ずいつか取り戻さなければならない物だと、愛にしっかりと伝えて。
もちろん、そんなことで愛は納得するはずがなく、瞳のことを恨めしく思ってしまうが、そういうときに頼りになるのが長女の泪。愛の気持ちも理解しつつ、瞳の苦悩も分かっているからこそ、うまく間を取り持つことができるのだろう。泪が愛に計画を伝え、愛も納得した上で参加することに。
予告通り、「湖畔の家」を盗み出したキャッツアイ。三姉妹の見事な連携プレーで華麗に絵画を奪い去った。ただ、それだと正が責任を取る形でクビになってしまうが、その対策もしっかり考えているのがキャッツアイ。小田島館長に盗聴器を付けて、彼が不正取引で美術館の予算を横領している証拠をつかみ、俊夫ら警察がいるところでハイテクな映像を使って悪事を暴いてみせた。
全てがうまくいき万事解決、となるはずだったが、小田島の不正を俊夫が見つけたものだと思った修平が彼に憧れてしまい、「刑事になりたい」と愛に伝える。結果的に瞳と俊夫に加えて、愛と修平による“やっかいな恋”が増えたことになった。
第3話では、父親のコレクションと作品を取り戻すことへの瞳の強い思い、気持ちが分かったこと、ケンカしながらもちゃんと姉妹がそれぞれを思いやっていることが伝わる回となった。冒頭で、愛が開発した強烈な威力を持つ新アイテム“バンジームチムチ”を「使わない」と言いながらも、ちゃんと使ってあげているところにも姉たちの“愛”が感じられた。
そんな第3話に、視聴者からは「小田島ざまぁ」「今回俊夫かっこよかったなぁーー」「悪事がバレて良かった」「三姉妹の絆の描かれ方もよかった」「初々しい!」など、さまざまな声が上がっている。
「キャッツ・アイ」は前編の第1話から第6話が9月26日から10月31日(金)まで、後編の第7話から第12話は12月26日(金)から2026年1月30日(金)まで毎週金曜に1話ずつ順次ディズニープラスのスターで独占配信される。
◆文=田中隆信
※記事内、作品名の「キャッツ・アイ」の『・』はハートマークが正式表記

