誰もが楽しめる温泉コンテンツが満載

足湯を中心に、会場では温泉をテーマにしたさまざまな体験コンテンツも展開されていました。
子どもから大人まで楽しめる企画として人気を集めたのが、「温泉家・北出恭子さんと学ぶ!温泉◯✕クイズ大会」です。
“温泉の正しい入り方”や“泉質の違い”などを題材にしたクイズは、思わずためになる内容で、優勝者には伊豆半島の旅館宿泊券など豪華な賞品が用意され、会場は笑顔と歓声に包まれました。

一方で、足湯に浸かりながらリラックスした時間を過ごせる「足から温まるぽかぽかヨガ」も実施。
元LAVAインストラクターの赤松美香さんが講師を務め、足元から体をじんわり温めながら呼吸を整える時間が流れました。
「渋谷の真ん中で癒された」「伊豆の自然の中でもやってみたい」といった感想も多く寄せられ、日常の忙しさを忘れ、心と体を解きほぐすひとときになったようです。

さらに、東伊豆町の伝統工芸「雛のつるし飾り」制作体験も行われました。
地元の職人を招き、親子で布を縫い合わせながら小さな飾りを作る光景は、まるで温泉街の一角にいるよう。
手を動かすうちに自然と会話が生まれ、知らない人同士でも笑顔が交わされていました。
温泉のぬくもりだけでなく、人と人との“つながりのあたたかさ”が感じられる時間だったと言えそうです。
温泉をきっかけに広がる“地域とのつながり”

足湯に浸かる人、クイズ大会で盛り上がる人、つるし飾り作りに集中する人——。
思い思いにイベントを楽しむ参加者の表情には、どこか“素に戻った”ような穏やかさがありました。
会場では「渋谷に足湯があるなんてびっくりしました」「都会の中でこんなに癒されるとは思わなかった」といった声が多く聞かれました。
中には、「トークイベントを聞いて地域との関わり方を考えるきっかけになった」「伊豆の温泉に実際に行ってみたくなった」という反応も。
単なる癒しイベントではなく、地域の魅力を身近に感じることで、行動へとつながるきっかけを作っていたようです。
今回のイベントは、東伊豆町・西伊豆町・河津町の3町が連携して実現したものです。
地方の魅力を“持ってくる”のではなく、“共有する”という発想から生まれた試みとも言えます。
渋谷という多様な人が行き交う街で行われたからこそ、温泉が持つ“つながりの力”が一層引き立っていました。
都会で“オフロう”が伝えたメッセージ
ビルの谷間に湯けむりが立ち上る光景は、ほんの一日限りの出来事でした。
しかしその短い時間の中に、人と人、地域と都市がゆるやかにつながる瞬間が確かにありました。
日々の忙しさの中で、立ち止まって温かいお湯に触れる——それだけで心が少しほぐれ、見える景色も変わっていくのかもしれません。
今回の「都会でオフロう。渋谷温泉」は、ただのイベントにとどまらず、“癒し”というテーマを通して、地方が持つ豊かさを都市に届ける新しい形を示したように感じます。
渋谷で生まれたこの小さな足湯の輪が、やがて伊豆のまちへと広がっていく。
そんな未来を想像させる、心に残る取り組みでした。
