「結構、こわい」断崖絶壁のパチャの石段
続いて向かった「松の木展望台」で景色を眺めていると、そのすぐ横に一直線に伸びる急な階段を発見しました。
これが、「パチャの石段」と呼ばれる、断崖に造られた最大傾斜約40度の石段です。
足元を確かめながら一段ずつ慎重に下りていくと、目の前には宮古ブルーの海。
断崖から見下ろす景色は、思わず息をのむ美しさです。
その景色に引き寄せられるように歩みを進めると、V字に折り返す地点で景色は一変。
視界いっぱいに亜熱帯植物が広がり、さっきまでリゾート気分だったはずが、気づけば冒険モードへ突入します。
ジャングルのような迫力に圧倒されながらも、「この先に何があるんだろう」という好奇心に背中を押され、一歩ずつ歩みを進めました。
崖の下で出会った、来間ガー
パチャの石段を下り、緑に包まれた道を少し歩いていくと、「来間ガー」と刻まれた石碑が静かに姿を現します。
生い茂る木々が空を覆い、昼間にもかかわらず辺りはどこか薄暗く、聞こえてくるのは風に揺れる葉音と鳥のさえずりだけ。
何かが宿っていても不思議ではない―そう思ってしまうほど、この場所には張りつめた静けさが漂っていました。
「ガー」とは、沖縄の言葉で井戸や湧き水場のこと。
今ではひっそりとたたずんでいますが、水道が整備される以前、この湧き水は島の人々の暮らしを支える大切な水源でした。
人々は重い水桶を担ぎ、パチャの石段を何度も往復して水を運んでいたそう。その後、石段は学生たちの陸上競技のトレーニングコースとしても使われ、長く放置された時期を経て、2016年から復元工事が行われました。
断崖の下で、静かに時を刻み続けてきた来間ガー。
島の暮らしの記憶と、自然への畏れにも似た空気が重なり合う、来間島でもひときわ印象に残る場所でした。
