寄せ書きはすらすら書けたのに、個人的に渡すカードは書けない
送別会の前日、葛藤していました。チームの寄せ書きには、当たり障りのない言葉をすらすら書けました。お世話になりました、お元気で。誰に見られても角の立たない一行です。けれど自分の名前で渡す一枚になると、その手の言葉がどれも嘘くさく見えてきます。一緒に残業した話も、助けてもらった話も、書いては長すぎて消しました。短くすると、今度は何も伝わらない。最後に残ったのは、「また、」という書きかけだけでした。
「ちゃんと書けなくて、ごめん」の意味
見送りの輪ができる前に、カードを渡すのがやっとでした。じつは、きれいに書き直した清書も用意してはいたのです。でも最後に手が伸びたのは、消し跡だらけの下書きのほうでした。整った一枚より、迷った跡の残るこっちのほうが、まだ嘘がないと思ったからです。「ちゃんと書けなくて、ごめん」。そう言うのが精一杯で、その続きは伝えることができませんでした。彼女が困った顔をしたのも、当然だと思います。
