ソフトバンクの打撃職人が、今季限りで現役を退くことになった。小久保裕紀監督からは「勝負どころの代打の切り札」としての役割を言い渡されていた中村晃は、限られた出場機会で思うように結果を出せず、球団に引退の意思を伝えたのである。
今季初安打は4月17日のオリックス戦で出た。ここまで23試合の出場で31打数4安打、打率1割2分9厘と低迷。6月9日には1軍登録を抹消されたことで、ユニフォームを脱ぐ決意を下した。
一部では小久保監督との確執が取り沙汰されているが、
「わだかまりや不仲といった険悪な関係ではありませんね。もう大人になりましたから。若い頃は非常にトガッていて、チームメイトと仲良くしたくないと一匹狼の姿勢を貫いていましたが。年齢を重ねて協調性が出てきてからは監督、コーチとはうまくやっています」(スポーツラ
イター)
とみに厳しいことで知られる母校・帝京高校の前田三夫監督からは、熱心でストイックなプレースタイルを高く評価されるほど精進を怠らない中村。ペナントレース中のオフを返上して汗を流したり、年の瀬に本拠地球場に単身でこもり、トレーニングに励んでいた。
チームへの貢献度が高く評価されて今後はコーチ業へ
精神的に大きく変貌を遂げたのは、2020年に選手会長になったあたりからだと、福岡メディア関係者は言うのだ。
「チームを背負う責任感、自負が芽生えて、全体をひとつにまとめるようになりました。誰よりも早く球場入りしてアーリーワークを行う姿がよく知られ、若手の模範になっています。契約交渉の席では、球場内の音楽イベント開催に伴ってトレーニング場所が制限される問題を指摘し、環境是正の話し合いに時間を割いていました」
こうした熱い心意気とこれまでの貢献度が高く評価され、コーチという立場でチームを支え続ける道へと進むことになるという。
2014年に最多安打タイトルを獲り、ここまで通算1520安打。ホークスひと筋の職人は惜しまれながらユニフォームを脱ぎ、これからは若鷹の育成や指導に力を注ぐことになる。
(田中実)

