
好意を返してくれない相手に、高価な贈り物をしたり、過剰に褒め続けたり、しつこく気を引こうとする男性がいます。
一見すると「一途な恋愛」にも見えますが、その行動が相手の気持ちを無視している場合は問題でしょう。
近年、英語圏のネット文化では、こうした過剰で執着的なアプローチ行動を「シンピング(simping)」と呼んでいます。
では、相手に好かれていないのに執拗にアプローチしてしまう男性は、いったい何に突き動かされているのでしょうか。
シンガポール経営大学(SMU)の最新研究で、シンピングをする男性の動機の一つが明らかになりました。
研究の詳細は2026年5月24日付で学術誌『Journal of Personality』に掲載されています。
目次
- シンピングを特徴づける「2つのタイプ」
- シンピングをする男性は「ある恐怖」を抱えていた
- 気になる相手がいると「独身への恐怖心」がシンピングにつながりやすい
シンピングを特徴づける「2つのタイプ」
恋愛において、相手を大切にしたいと思うこと自体は自然なことです。
好きな人のために時間を使ったり、親切にしたり、励ましたりすることは、多くの関係に見られる普通の行動です。
しかし今回の研究が注目したのは、そうした通常の思いやりを大きく超えた行動です。
たとえば、相手から同じような好意が返ってきていないにもかかわらず、高額なプレゼントを贈り続けたり、連絡をし続けることです。
あるいは、相手を過度に理想化し、相手を批判する人に強く反応し、生活の中心をその人だけにしてしまうような行動です。
研究チームはまず、こうしたシンピング行動がどのような特徴を持つのかを明らかにすべく、成人参加者に自由記述で行動例を挙げてもらいました。
その後、別の参加者に、それらの行動が「シンピング」と呼ばれる現象をどの程度よく表しているかを評価してもらいました。
その結果、行動は大きく2つに分類されました。
1つは「過剰さ」です。
これは、大金を使う、絶え間なく相手を褒める、相手のために必要以上の労力を注ぐといった行動です。
もう1つは「執着性」です。
これは、相手に固執する、相手を過度に擁護する、相手を理想化する、恋愛対象から心理的に離れられなくなるといった行動です。
重要なのは、これらの行動が第三者から必ずしも魅力的に見られない点です。
観察者は、このように振る舞う人を、自尊心が低く、自分自身の軸が弱く、恋愛相手として望ましさが低い人物として評価する傾向がありました。
つまり、本人は「これだけ尽くせば気持ちが伝わる」と考えているかもしれませんが、周囲や相手からは、むしろ不安定で重いアプローチに見える可能性があるのです。
ここで気になるのは、なぜ一部の男性がこのような行動をとってしまうのかという点です。
チームは当初、身体的魅力や社会的地位など、自分の「恋愛市場での価値」を低く感じている男性が、その不足を補うために過剰な献身を行う可能性を考えました。
しかし、実際の結果はそれほど単純ではありませんでした。
シンピングをする男性は「ある恐怖」を抱えていた
チームは次に、200人の男性を対象に、「シンピング行動」と「心理的背景」の関係を調べることに。
参加者には、自分の身体的魅力、社会的地位、恋愛経験、社会的優位性、そして過剰なアプローチ行動の傾向などについて回答してもらいました。
さらに、参加者がどれほど「独身のままでいること」を恐れているかも測定。
この尺度には、「年を取っても相手が見つからないのではないか」「自分に合う人はもういないのではないか」といった不安に関する項目が含まれていました。
すると、意外な結果が得られました。
自己申告された身体的魅力、社会的地位、全体的な恋愛上の望ましさは、過剰で執着的な恋愛行動を強く予測しませんでした。
その一方で、最も強い予測因子として浮かび上がったのは、「独身でいることへの恐怖」だったのです。
つまり、執拗なアプローチをする男性は、必ずしも自分を「魅力がない」と思っているわけではありません。
むしろ、「このまま誰とも結ばれないかもしれない」という不安が強いほど、返報されない相手に対しても、過剰に追いかける傾向が高まっていたのです。

