
世の親たちは子どもにデジタル機器を与えるタイミングに頭を悩ませるもの。リリーパッドはそんな現代性を反映したキャラクターで、友人のいないボニーを近所の子どもたちとチャットでつなげることもできる。子ども用なのでおもちゃの域を出ないが、それまでボニーに遊んでもらい、絆を築いたと思っていたジェシーにしてみれば、不愉快な存在だ。かくしてアナログのおもちゃたちは抵抗を試みるが、その過程でジェシーは運命のいたずらか、最初の持ち主エミリーが住んでいた牧場に迷い込んでしまう。そこには現在、9歳の女の子ブレイズ(声:白山乃愛)が両親と住んでいた。

■ジェシーが思い出の家で出会う3体のテック玩具
本作にはリリーパッド以外にも、テック玩具がいくつか登場する。それはブレイズが幼児の頃に遊んでいたトイレトレーニング用のおもちゃ、スマーティー・パンツ(声:佐野勇斗)や、デジタルマップ機能を持つアトラス(声:松井ケムリ)、そして子ども用デジカメというべきスナッピー(声:井上和)。彼らのキャラクターがこれまたチャーミング!そしてそれらは、ジェシーの運命にとっても重要な存在となっていく。そんな3体のテック玩具について、ここで語ってみよう。
スマーティー・パンツはまだトイレに行けない幼児のための訓練用おもちゃで、ブレイズが最初に触れたテック玩具。充電切れで放置されていたところをジェシーが発見した。少々毒舌家で、口数が多い。青いマジックハンドのようなタッチペン的な存在によって操作される。ジェシーにとって、スマーティー・パンツはブレイズの家を冒険するためのガイドとなるのだ。

その案内によって引き出しから発見されたのが、これまた充電切れ状態のアトラスとスナッピー。カバの形をしたアトラスはGPS機能を備えており、幼い頃のブレイズがどこにいてどう移動したのかを覚えている。一方のスナッピーは幼い頃のブレイズの姿や、彼女が撮った写真を保存している。言い換えれば、アトラスはブレイズの幼かった頃の記録であり、スナッピーは記憶の象徴だ。

この3体に共通しているのは、いずれも成長したブレイズに忘れられてしまっていること。かつて持ち主に捨てられてしまった過去を持ち、いまもまたボニーに忘れられようとしているジェシーには他人事ではない。かくして見捨てられたおもちゃたちは結束し、ある重要なミッションのためにブレイズに接触するという行動を起こす。

■ガジェット感ある連携プレーにワクワク!
「トイ・ストーリー」シリーズのおもしろさの一つに、窮地を脱するためのおもちゃたちの連携プレーが挙げられる。スマーティー・パンツとアトラス、スナッピーの場合は、デジタル機器だけに連携プレーもハイテク。USBメモリ接続で情報を共有して、ジェシーを危機から救ったり、ブレイズがどこにいるかを推測したり。ざっくりとではあるが、スマーティーは実行、アトラスは戦略、スナッピーはサポートという役割分担といえる。とにかく、デバイスならではの連携はガジェット感覚にあふれ、見ているだけでワクワクしてくる。

それだけにとどまらず、このデバイス機器トリオは、心に傷を負っているジェシーを支えて立ち直らせる役目も果たすのだ。それがどういうことかは映画を観てほしいが、彼らがジェシーと絡んだことで発展していく場面が『トイ・ストーリー5』で最もエモーショナルなシーンであることは言っておきたい。

■バズ・ライトイヤー人形もデジタルに!
最後にもう一つ、忘れてはいけないテック玩具キャラを紹介しておこう。それはバズ・ライトイヤー人形のアップデートバージョン。劇中に登場するのは、その数なんと50体!それぞれに通信機能を備え、ドローンのように空を飛び、縦横無尽に連携する、まさにデジタル時代のおもちゃ人形だ。彼らが物語の本筋にどう絡んでくるのか、それも観てのお楽しみ!

文/相馬学
