『KING OF PRO-WRESTLING 2025』東京・両国国技館(2025年10月13日)
IWGP世界ヘビー級選手権試合 ○KONOSUKE TAKESHITAvsザック・セイバーJr.×
G1覇者のTAKESHITAがザックとの頂上決戦を制して、IWGP世界ヘビー級王座を初挑戦・初戴冠。試合後、今大会で復帰した後藤洋央紀が挑戦表明すると、TAKESHITAは年内の迎撃を宣言し、「世界のTAKESHITAは強えぞ」と言い放った。
TAKESHITAとザックは今年のG1公式戦でシングル初対決。ザックがギブアップ勝ちを奪ったものの、準決勝で再び対峙した際にはTAKESHITAが雪辱に成功した。その勢いのままにTAKESHITAはG1を初制覇。その後、ザックは9・28神戸大会でG1公式戦で敗れていた成田蓮へのリベンジを果たし、毎年恒例となる秋の両国でIWGP世界ヘビー級王者とG1覇者による頂上決戦が実現することになった。
緊張感溢れる先制争いからTAKESHITAが腹部と腰を狙い撃ちにしたものの、ザックも右腕狙いで応戦。得意の関節技で何度もTAKESHITAから悲鳴を引き出した。TAKESHITAはスープレックスを連発し、ノータッチトペコンヒーロもさく裂。一気にペースを奪ったかと思われたが、ザックもエプロンでヒジ関節を踏みつけて再び攻勢に。厳しい一点集中攻撃を展開した。
苦しい時間が続いたものの、TAKESHITAは痛む右腕でこん身のエルボー、ラリアットを叩き込んで反撃ののろし。デルフィンスペシャル、人でなしドライバー、ジャーマンと大技ラッシュでたたみかける。しかし、ザックも急角度のザックドライバーで突き刺して同時にマットに崩れ落ちた。
2人は必死に立ち上がると、エルボー合戦で火花。TAKESHITAはローリングエルボーを振り抜いて、ザックを腰砕けにさせると、ワガママ(ランニングニー)へ。これをキャッチしたザックはクラーキーキャットに引きずり込み、右腕を絞め上げてギブアップを迫る。決定的な場面だったが、間一髪でTAKESHITAの足がロープに届いた。ならばとザックはミドルキックを連発するが、ラリアットは相打ちに。痛む右腕を気にせず、TAKESHITAはラストライド、ワガママで巻き返した。
そして、雪崩式ファルコンアローを仕掛けるも、踏ん張ったザックは雪崩式回転エビ固めで叩きつける。スイング式DDTからクラッチを解かずにザックドライバーを仕掛けたものの、こらえたTAKESHITAが逆にレイジングファイヤーを繰り出した。止まらないTAKESHITAはPlus Ultra(変型チキンウィングフェイスロック)へ。ザックが指を絞め上げて脱出し、ヒジ関節を踏みつけても、TAKESHITAはカウンターのヒザ蹴りから再びレイジングファイヤーを仕掛けた。
TAKESHITAが右腕のダメージから投げられないとみるや、逆にザックがセイバードライバーをズバリ。ザックはエルボースマッシュを連打すると、頬を張ってTAKESHITAを挑発する。これに表情を一変させたTAKESHITAは右腕のサポーターを外し、フルスイングでエルボーを放って逆転。崩れ落ちたザックはそれでも腕固めに捕らえるが、引かないTAKESHITAはジャーマンを2連続で繰り出し、リバースフランケンもさく裂。そして、ワガママをぶち込むと、最後は生ヒザ式ワガママでザックを沈めた。
G1制覇の勢いのままに、TAKESHITAがザックとの頂上対決を制して、IWGP世界ヘビー級王座初挑戦・初戴冠を果たした。そんなTAKESHITAに歓声とブーイングが交錯する。それを受け止めたTAKESHITAは「お前らの中にも文句があるヤツおるやろ。俺がベルトを獲って、はらわた煮えくり返っているのは新日本ファンだけじゃない。選手の中にもおるはずや。俺にグチグチ文句言ってるヤツがおるな。いいよ。こうして俺がベルトを獲った。文句のあるヤツは俺の前に来い」と新日本の選手たちも挑発した。
そこに現れたのは、ザックに敗れた6・29大阪城ホール大会までIWGP世界ヘビー級王座を保持し、今年上半期の新日本マットをけん引していた後藤だった。この日、右ヒジの負傷から3ヵ月半ぶりに復帰したばかりの荒武者に、大「後藤」コールが巻き起こる。後藤は「KONOSUKE TAKESHITA、お前にひとつ聞きたい。俺が来ると思っただろ? 次はこの俺に挑戦させろ」と表明。「俺の挑戦を受けるのか、受けないのか、どっちだ?」と迫った。
TAKESHITAは「お前が来ると夢にも思わなかったよ。おい、新日本の若えヤツら。こんなベテランレスラーに任せていいんやな。お前ら挑戦者・後藤でええんやな」と投げかけたうえで、「おい、確かに去年のG1の貸しもあるからよ。お前とやってやるよ」と昨年のG1公式戦(8・4名古屋)でのリベンジを見据えて同意。「でもな、俺はオメエの革命とやらに付き合わねえぞ。世界のTAKESHITAは強えぞ」と通告した。
再び大きな「後藤」コールの中で荒武者が去っていくと、TAKESHITAは「さあ、俺がベルトを獲ったぞ。お前ら今、何を思う? ブーイングなのか。それとも声援なのか」と観客を煽る。様々な声が客席から飛ぶが、TAKESHITAは「俺がよ、IWGP獲ったからには、規格外の戦いをして、日本のプロレス界を俺たちプロレスラーも、お前らファンも、プロレスこそナンバーワンだと胸を張って言えるそういう世界、突き抜けていこうぜ」と力強くアピールする。最後は「このベルトを獲った意味を俺はよくわかってるから。お前ら楽しみにしとけよ。それが俺からのメッセージだ。From The Alpha!」と雄叫びを上げて、激闘続きの両国大会を締めくくった。
バックステージでTAKESHITAは「このベルトを獲ったからには、もちろん1・4東京ドームに立たないと。でも、1回獲ったぐらいで、東京ドームの舞台にチャンピオンとして立とうなんか、そんなことは微塵も思わない。後藤とはドームの前にやったるから。後藤楽しみにしとけ」と注目発言。後藤を年内に返り討ちにし、さらに勢いを加速させて、来年の1・4東京ドーム大会につなげる構えだ。
【試合後のTAKESHITA、ロッキー】
──ベルトを手にした今の思いは?
▼TAKESHITA「試合前に言った通り、このベルトは本気でプロレス界の最高到達点と思ってるから。でも、俺はこれがゴールだと思ってない。こっからまた、新しい山探しに行くから。まずは、このベルトを獲ったからには、IWGPの重みは子供の頃から見て、よーわかってるから。せっかく俺が獲ったからには、IWGPの歴史の中にもないような規格外の闘いでこのベルトを見せていく。そして、このベルトを獲ったからには、もちろん1・4東京ドーム、頭にあるよ。でも、1回獲ったぐらいで東京ドームの舞台にチャンピオンとして立とうなんて、そんなことは微塵も思わへん。後藤とはドームの前にやってやるから。後藤、楽しみにしてろよ」
──ザックとの戦いを振り返ると?
▼TAKESHITA「今日は俺が勝った。これで2勝1敗になったとか勝ち越したとか、そんなんどうでもよくて、今日は俺が勝った。今日は俺の方が強い、それだけの話。ザックが強い。俺も強い。でも、今日は俺のほうが強い。やってることは何も間違ってない」
──ファンの声援をどう感じた?
▼TAKESHITA「みんなで一緒に闘おう。絶対にガッカリさせへんから。みんなで一緒に闘おう」
──王者としてどういう闘いを見せていく?
▼TAKESHITA「さっきも言った通り、IWGPの歴史の中にも、まだ見たことのないような、『やっぱりプロレスすげえ』、『やっぱりプロレスこそがナンバーワンや』、見に来た人が、そしてやってる俺たちが胸を張って言える、そういう世界を見せていくだけですね」
▼ロッキー「新日本のファンよ……TAKESHITAにブーイングしたな? 部外者のように扱ったな? なぜだ? この男は過去20年で最高の『G1』を創り上げただけじゃなく、今夜、史上最高のIWGP世界ヘビー級王者の1人、ザック・セイバーJr.を倒したんだ。それも正々堂々と。THE ALPHAには敬意だけを持つべきだ。そしてゴトー、お前が次の挑戦者ならば忠告しよう。IWGPのGはゴトーのGじゃない。それは、“THE ALPHAとリングに上がる時は、土下座して命乞いでもしてろ"ってことだ。(※日本語で)一緒に乾杯?」
▼TAKESHITA「Yeah(※と、缶ビールを開ける)」
▼ロッキー「IWGP世界ヘビー級王者、KONOSUKE TAKESHITA。THE ALPHA」
▼TAKESHITA「乾杯」
▼ロッキー「カンパイ!」
【ザックの話】「(※腹を押さえてうずくまり)アイツの方が強かったってことだ……。これ以上、大したことを言えるとは思えない。3つのベルトが入れ替わった……今、上手くしゃべれないことは勘弁してくれ。アイツのほうが強かった。言い訳はしない。そして俺の東京ドームはなくなった。自分以外を責めるほかない。だから(※日本語で)オメデトウ、TAKESHITA。オメデトウ」

