写真に写ってしまった誤算
彼女とは離れて暮らしていて、会えない週末も少なくありません。だから来月の誕生日くらいは、ちゃんと喜ばせたかったんです。俺は職場の同僚に相談しながら、彼女に似合いそうな香水をひとつ選びました。買ってきた箱は、棚の奥に押し込んでおきました。
その夜、作った夕飯の写真に「うまくできた」と一言添えて、彼女に送りました。料理を見せたかっただけなのに、撮った角度の関係で、棚の隅に押し込んだはずのプレゼントの香水の箱まで写り込んでいたのです。その時、自分では全く気づきませんでした。
とっさに送った「気にしないで」
しばらくして、彼女から「これ、誰の香水?」と連絡がきました。本当のことを言えばサプライズが台無しになる。とっさに俺は「ああ、それは気にしないで」とだけ返しました。職場の人にもらった見本だとでも嘘をつけばよかったのに、咄嗟に他人を持ち出すこともできず、口から出たのは一番下手な返事でした。当日まで黙っていれば喜ばせられる。その考えしか、俺の頭にはありませんでした。
