
新海誠監督による劇場公開第3作、アニメ『秒速5センチメートル』(2007年)ビジュアル (C)Makoto Shinkai/CoMix Wave Films
【画像】え、「もう新海誠作品にしか見えん」 コチラが「再現度」エグイ実写『秒速5センチメートル』名シーンです
「貴樹」は本当にケリをつけられた?
「あれはもう『呪い』だよ」
松村北斗さん主演の実写映画『秒速5センチメートル』が2025年10月10日に公開されたなか、ここにきて同題の原作アニメを初めて観たという50代男性は、その感想を冒頭のように切り出しました。穏やかではありませんね、なぜそのような感想に至ってしまったのでしょうか。
※本記事にはアニメ版『秒速5センチメートル』のネタバレが含まれますのでご留意ください。
そもそも劇場アニメ『秒速5センチメートル』(以下「アニメ版」)は、2007年に公開された、新海誠監督3作目の劇場公開作品です。第一話「桜花抄」、第二話「コスモナウト」、第三話「秒速5センチメートル」の短編3話からなる作品で、主人公「遠野貴樹」の、幼少期に始まる「篠原明里」への恋心の行方を描く物語になります。
さて、どのあたりが「呪い」なのでしょう。
「貴樹にとっては、明里が初恋の相手でいいんだよね? で、初恋ってきっと誰しも忘れられるものじゃないでしょ?」
全ての人がそうであるとは言い切れませんが、おおむねそういうものでしょう。なるほど、忘れられないことを呪いと「いや、それだけじゃない」。
「その初恋があんな強烈な思い出と結びついたら、しょっちゅうフラッシュバックしてただろうね。そういう描写にもなっていたと思うし。そしてもう明里との恋が成就することはないって、貴樹もわりと早い段階で半分くらいはわかってるんじゃないかな。けれどあとの半分は……それはもう、呪いみたいなものでしょう」
言わんとすることはわかる気もしますが、その表現はどうかと思います。関係者の皆様、ファンの皆様、本当に申し訳ございません。
「最後は、過去から解放されたってことでいいんだろうけど、観てる側としてはなんかこう……眠れなくなるよね、っていうか、眠れなかったよね」
なるほど、本作をきちんと受け取って、心に刺さるものがあったからこそ、枕を抱えて奇声を上げたくもなるのでしょう、わが身を振り返って。
「もうね、オレを殺しにかかってるのかと」
それは言い過ぎです。
「第二話もさ、自分が学生のときの……あれ? もしかしてあの時のあの子のアレって(中略)そりゃ眠れなくもなるでしょう」
睡眠不足はお気の毒さまで、あの時のあの子のアレはきっと思い過ごしでしょうが、ともあれ心にブッ刺さりまくったようです。それこそが作品の「力」というものでしょう。
「けど、ちょっとモヤっとするところもあるんだよね。あの最後って、貴樹は本当にケリをつけられたのかな?」
……あー、それはご自身がいまだ「呪い」のなかにあるから、そう思ってしまうのでは……ああいえ、もしかすると「ちゃんと失恋できたかどうか」が引っかかっているのでしょうか。
「ああうん、それ、そこが少しモヤモヤするんだと思う」
そのあたりの貴樹の心情は、「実写版」のほうがわかりやすいかもしれません。
冒頭にも触れた同題の実写映画は、公開されるやSNS上などで「泣いた!」「リピート決定」といった、ポジティブな声が上がっています。
アニメ版からの変更点は見られるものの、物語の本筋は原作に忠実といえ、そして貴樹をはじめ登場人物たちの心情もより丁寧に描かれているといえるでしょう。そのモヤモヤにもケリがつけられるかもしれません、枕を抱きしめて足をバタバタさせながら。
実写版『秒速5センチメートル』は、全国の劇場で公開中です。
