
「24人中6位」と「12人中3位」の社員がいたら、どちらが優秀に見えるでしょうか。
多くの人は、直感的に「3位」の方に強い印象を受けるかもしれません。
しかし実際には、どちらも集団内では同じ上位25%に位置しています。
イタリアのボッコーニ大学(Bocconi University)などの研究チームは、私たちがランキングを読むとき、「全体の中での位置」よりも「1位からの近さ」に引っ張られやすいことを明らかにしました。
この研究は2026年4月30日付で、学術誌『Organizational Behavior and Human Decision Processes』に掲載されています。
目次
- 「3位/12人」は「6位/24人」より優秀に見える
- 採用、商品選び、旅行先でも同じ錯覚が起こる
- ランキングを見るときは、立ち止まって「何人中?」と確認すべき
「3位/12人」は「6位/24人」より優秀に見える
ランキングは、一見するととても客観的な情報に見えます。
しかし、そこには少なくとも3つの数字の読み方があります。
たとえば、「3位/12人」の人と「6位/24人」の人について考えてみましょう。
1つ目は「3位」や「6位」という絶対順位です。
2つ目は「12人中」や「24人中」というリストの長さです。
そして3つ目が、「上位25%」のような相対的な位置です。
2つのランキングを比べるときには、「何位か」だけでなく、「全体の中でどの位置にいるか」も確認する必要があります。
その観点で考えると、「3位/12人」の人と「6位/24人」の人は、どちらも上位25%の位置にいて、評価は同等になるはずです。
ところが私たちの脳は、分母まで含めて冷静に計算するよりも、まず目立つ順位の数字に反応しがちです。
「3位」と聞くと、上には2人しかいないように感じられます。
一方で「6位」と聞くと、上に5人もいるように感じられます。
見方を変えれば、「6位/24人」の人は18人を上回っており、「3位/12人」の人が上回っている9人よりも多くの相手に勝っています。
それでも「18人に勝っている」という情報は、「1位から遠い」という印象ほど強く心に残りません。
研究チームは、人がランキングを評価するとき、リストの下位からどれだけ離れているかやパーセンタイルよりも、トップからどれだけ近いかを重視しやすいと説明しています。
つまり「3位/12人」がよく見えるのは、実力差そのものではなく、順位の見え方に私たちの注意が引っ張られているためかもしれないのです。
今回の研究では、そうした人々のランキングの見方に関する傾向が調査されました。
採用、商品選び、旅行先でも同じ錯覚が起こる
研究チームは、この傾向を確かめるために、8つの事前登録実験を行いました。
参加者は合計4455人で、採用判断、商品選び、レストラン、ハイキングコース、歴史的邸宅、ビーチ、従業員ボーナスなど、さまざまな場面でランキングを評価しました。
最初の実験では、実際に管理職経験のある301人が、社内候補者の採用判断を行いました。
候補者は「12人中3位」または「24人中6位」と示され、どちらも相対的には同じ上位25%でした。
それにもかかわらず、参加者は「12人中3位」の候補者をより高く評価し、最終的な採用選択でも61.13%が短いリスト側の候補者を選びました。
この効果は、人事評価だけに限られませんでした。
別の実験では、参加者がレストラン、ハイキングコース、歴史的邸宅を選びました。
その結果、レストランでは64.67%、ハイキングコースでは56.67%、歴史的邸宅では55.67%が、短いリスト側の選択肢を選びました。
さらに、実際にもらえるペンを選ぶ実験でも、参加者の63.4%が「16本中4位」ではなく「8本中2位」のペンを選びました。
つまりこの現象は、ただの印象評価ではなく、実際の利害がある選択にも影響していたのです。
そして興味深いことに、この錯覚は、短いリスト側の相対順位がむしろ悪い場合にも残りました。
水筒を選ぶ実験では、「8個中2位」は上位25%、「20個中4位」は上位20%であり、相対的には後者の方が上でした。
それでも57.18%の参加者が「8個中2位」の水筒を選びました。
この結果は、人がランキングを見るとき、必ずしも全体の中での位置を正確に比較しているわけではないことを示しています。
では、この結果からどんなことを学べるでしょうか。

