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プロデビュー戦の園部八奏を跳ね返した大坂なおみの老練さ。「隣で練習している彼女を見た」だけで立てた作戦がハマる<SMASH>

プロデビュー戦の園部八奏を跳ね返した大坂なおみの老練さ。「隣で練習している彼女を見た」だけで立てた作戦がハマる<SMASH>

木下グループジャパンオープンテニス女子、本戦開幕前日の、日曜日――。

 ファンも見守る中で行なわれた、シングルス本戦ドローの公開抽選会場が、早々に歓声に包まれた。大会第1シードとして、ドロー表の一番上に光る文字は、Naomi Osaka(大坂なおみ)。元世界1位にして、4度のグランドスラムタイトル保持者であり、先の全米オープンベスト4進出者でもある。

 その大坂の名の真下......即ち、初戦の対戦相手に飛び込んだ名は、園部八奏。10月8日にプロ転向したばかりの17歳は、このドローミーティングの立ち合い人も務めていた。そんな注目の新星は、目の前で、自身の“プロデビュー戦”の相手を知ったのだった。

「自分は“持っている”のかな」

 対戦カードが決まった時、園部は、そう思ったという。「肝が据わっている」と自己分析するほどに、日頃は緊張や硬さとは無縁のタイプでもある。
  その彼女が月曜日の試合コートに足を踏み入れた時、「すごく緊張していた」と言った。足が、思うように動いてくれない。するとボールへの入りが遅れ、どうしても振り遅れる。本来は、ダイナミックなスイングから放たれる彼女の強打が、ことごとくネットを叩いた。

 第1セットは、6-0で大坂の手に。緊張の克服も含め実力と言えばそれまでだが、園部が本来の力を出し切れていないのは明らかだった。

 もっとも大坂にしても、スコアほどには、コート上で心地よさを感じてはいなかったという。相手のプレースタイルがわからない中で、手探り状態でのプレー。硬さの見える相手が、どこかで緊張の枷が外れ反撃してくることも、念頭に入れながらの進行でもあっただろう。

 果たして第2セットに入ると、試合の空気は大きく変わった。園部が第1ゲームで初のサービスキープに成功すると、ようやく硬さもほぐれ、足が動き始める。サービスで崩すと左腕を振り抜き、迷わずオープンコートへと強打を叩き込んだ。

 第3ゲームでブレークされるが、直後のゲームでブレークバック。「フォアでウイナーを決める快感」に魅せられたという園部が、その魅力を、プロデビュー戦のコートで体現し始めた。
  ただ、28歳の誕生日を3日後に控える大坂は、若さの勢いを止める術を知る。相手の情報が少ない中でも、準備と対策に抜かりはない。

「試合前のウォームアップで、隣のコートで練習している彼女を見た。フラットのボールを打ち返すのが好きな選手だと感じたので、コーチとも相談の上で、高い軌道のボールを多く使おうと思っていた」

 この大坂の老練さとプレーの幅の広さが、試合が進むにつれ可視化されていく。回転をかけた弾むボールで、園部のバックサイドを狙い強打を封じた。また8本のエースを決めたサービスも、大坂の武器であり両者を隔てた要因だろう。

 それも単に、スピードだけではない。園部はサービスの読みの良い選手で、打たれる前からコースに動いていることが多い。その園部がこの試合では、幾度も逆を突かれた。

「サービスのコースや確率が良くて、リターンが難しかった。(大坂は)ラリーでもしっかりミスなく、丁寧にやってきた」

 それが、園部がネットを挟んで対峙し肌身で感じた、大坂の強さの精髄。その相手への力負けを認めながらも、試合序盤で力を出し切れなかった悔いも大きい。
 「悔しいというか......できることなら、もう一回やりたいという気持ちがある」

 この負けん気こそが、17歳の大器がプロデビュー戦で光らせた、天性のスターの資質だ。

 一方の大坂は勝利の先に、自分が生まれた町・大阪で迎える、10月16日の誕生日を思い描く。

「自分が年を取ったのだなと感じるけれど、キャリアのこの時点で、大阪にいられることがうれしい。娘と一緒に過ごせることにも、すごくワクワクしている」
 
 順当に行けば待ち望むその時は、2回戦の勝利後に迎えることになるだろう。

 故郷で10歳年少選手の挑戦を退け、自分が踏破してきた道に思いを馳せ、大坂なおみが、大阪をゆく。

取材・文●内田暁

【動画】大坂なおみが園部八奏の挑戦を退けたジャパンオープン1回戦ハイライト

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配信元: THE DIGEST

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