短くなっていく返信
付き合って3年になる彼の部屋で、私はひとり帰りを待っていました。最近の彼は、どこか上の空でした。メッセージの返信は「うん」「了解」ばかりで、次の予定も「また決めよう」と流されることが増えていました。それでも、嫌われたと決めつけたくはありませんでした。仕事が忙しいだけかもしれない。疲れているだけかもしれない。そう自分に言い聞かせていたとき、机の上に開いたままのメモ帳があることに気づきました。
ページに並んだ「別れない理由」
見てはいけないと思ったのに、目は勝手に文字を追っていました。ページの1行目には、彼の字で「別れない理由」。その下には、「家事を半分やってくれる」「休みが合う」「ひとりだと生活が荒れる」と箇条書きが続いていました。そこにあったのは、「好き」でも「一緒にいたい」でもありません。私という人間ではなく、私がいることで成り立つ生活の都合ばかりに見えました。わざわざ“別れない理由”を書き出すということは、別れる理由もあるということなのだと思いました。
