「その話、発表でやってみたら」勧めた彼が私の発表だけ拍手の前に席を立った→脈なしを覚悟

資料の最後の一枚を読み終えて、私は顔を上げました。発表を聞いてくれていた人たちの中に、ひとりだけ席を立つ人がいます。それが好きな人だと気づいたのは、その背中が出入口へ向かったあとでした。
「数千円ぐらいケチるな」雨の日、街で私の傘をさしていたのは1か月前に別れた元カレでした

別れる前と何ひとつ変わらないあの口調に、私は家までの道のりを濡れて帰り、たった一言で決着をつけました。駅前の人混みで遠ざかっていく紺色の長傘の持ち手には、私がつけたチャームが揺れていました。
