トランプと習近平の“口ゲンカ”が、いまや国家の威信を懸けた“全面戦争”に変わった――。米中貿易戦争の最新局面では、トランプが再び「中国つぶし」のアクセルを全開に踏み込み、中国経済が悲鳴を上げている。
トランプがホワイトハウスに戻るや否や打ち出したのが「関税爆弾」。同盟国に対しても30%の追加関税をチラつかせたが、中国には容赦なし。初手で34%、中国が報復すると84%、さらに125%へと跳ね上げ、最終的には習近平に「土下座させる」シナリオまで描いていた。
だが、習近平もただでは引かない。トランプの関税攻撃をあざ笑うように、戦略資源レアアースの輸出を制限し、米ハイテクの象徴・エヌビディアのAI半導体を輸入禁止にするという報復カードを切った。しかも、トランプの支持層である米農家を直撃する“大豆・トウモロコシ禁輸”という“静かな復讐”も発動。完全に喧嘩腰だ。
しかし、10月10日。トランプはついに“核オプション”を宣言する。「中国製品に100%の関税をかける」とぶち上げ、航空機部品の輸出停止にも言及。これまで「習近平のしたたかな外交勝ち」と報じてきた世界のメディアが、一斉にトーンを変えた。
実際、中国の内情はボロボロだ。経済は沈みっぱなし、街中には“平成のチャイナ・ドリーム”を追いかけた元中間層があふれている。2020年のコロナ完全封鎖、22年の不動産バブル崩壊、そして2025年の関税ショックが三重苦となり、かつて7億人といわれた中間層が、今や一気に貧困層へ転落しているのだ。
上海で貿易会社を営む知人がこうメールしてきた。
「企業の倒産が止まりません。飲食、サービス、建設、どこも地獄。最近はホームレスが激増しています。建築中のまま放置された高層ビルに、破産した家族が“住みつく”んです。上海だけで何千棟もあります」
この証言だけでも、中国社会の崩壊スピードがどれほど深刻かわかる。貧困の連鎖は、やがて“絶望の連鎖”へ。中国政府はコロナ以降、自殺者や火葬者の公式発表をやめたが、内部筋によれば24年の自殺者は文化大革命以来の最多、300万人規模に達したという噂もある。予備軍を含めれば、なんと3000万人――。
「トランプ関税」が引き金となり、習近平体制の綻びがついに露出しはじめた。世界最強の共産国家が、静かに“瓦解”へ向かっているのかもしれない。
(ジャーナリスト・団勇人)

