
シャーロット・ケイト・フォックスさんプロフィール写真
【画像】えっ「こんな超美人と?」 コチラが『ばけばけ』でシャーロット・ケイト・フォックスさんが演じる「小泉八雲の心の恋人?」だった女性記者です
ヘブンと「いい感じ」と言われていたが
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し『怪談』『知られぬ日本の面影』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え数々の怪談を語った妻の小泉セツさんの生涯をモデルにした物語です。
第10話では、1886年(明治19年)に主人公「松野トキ(演:高石あかり)」と婿の「山根銀二郎(演:寛一郎)」の結婚が決まった一方、アメリカのニューオーリンズで新聞社の部長をしている「レフカダ・ヘブン(トミー・バストゥ)」の姿が描かれます。そこには、彼と「いい感じ(蛇と蛙のナレーション談)」の白人女性がいました。彼女は何者なのでしょうか。
※ここから先の記事では『ばけばけ』のネタバレとなる情報に触れています。小泉八雲さんのことは「ハーンさん」と表記します。
ヘブンの同僚の新聞記者「イライザ・ベルズブランド」を演じているのは、2014年の『マッサン』でヒロイン役を務め、2016年の『べっぴんさん』に続き3回目の連続テレビ小説出演となる、シャーロット・ケイト・フォックスさんです。
フォックスさんが演じるイライザは、『ばけばけ』公式サイトで、「聡明で、世界を飛び回る行動力を兼ね備えた“パーフェクトウーマン”。ヘブンに日本行きを勧める」と説明されています。実際、10話で彼女はヘブンに日本への取材を打診していました。ヘブンに重要なきっかけを与えるイライザには、モデルがいるようです。
1869年に19歳で渡米し1874年から新聞記者として働いたハーンさんは、エリザベス・ビスランドさん(1861年~1929年)という、ルイジアナ州出身の女性ジャーナリストと生涯を通して親交がありました。ビスランドさんは1882年にハーンさんが書いた記事に影響され、21歳でハーンさんと同じニューオーリンズのタイムズ・デモクラット社の記者となっています。
その後、ビスランドさんは1887年頃にニューヨークに移住して雑誌「コスモポリタン」の編集者になり、1889年11月に小説『八十日間世界一周』(著:ジュール・ヴェルヌ)をモデルにした世界一周旅行の企画に出発しました。
ビスランドさんはその最中に訪れた日本に魅了されて記事を書き、さらにさまざまな体験談をハーンさんに語ったといいます。その後、ハーンさんは1890年4月に来日して8月に島根県松江市の英語教師となり、1891年2月に女中として働きに来た小泉セツさんと出会って、8月に夫婦となりました(1896年に正式に結婚して、小泉八雲に改名)。ハーンさんは来日後もビスランドさんと手紙のやり取りを続け、1904年にハーンさんが亡くなった後は、ビスランドさんが自ら編集も担当した伝記『ラフカディオ・ハーンの生涯と書簡(The Life and Letters of Lafcadio Hearn)』を執筆します。
書き手として優秀なだけでなく、誰もが認める美貌の持ち主でもあったというビスランドさんは、ハーンさんたちが結婚した1891年にニューヨークの弁護士のチャールズ・ウェットモアさんと結婚しました。ハーンさんとビスランドさんが「恋仲」になったという記録はありませんが、ハーンさんの子孫たちが書いた書籍には、ハーンさんが彼女を好きだったのではないかという考察も記されています。
ハーンさんとトキさんのひ孫である小泉凡さんは、『セツと八雲』という書籍で、ふたりの手紙を引用して「ふたりの間柄には機微があり、相思相愛の『心の恋人』という趣が感じられます」と語っていました。
1900年にハーンさんからビスランドさんに書かれた手紙には、「何度も何度もあなたに手紙を投じた。(中略)たびたびあなたが気に入るような書物を書きたい」とあり、さらに1902年の手紙には「12年前、日本へ行ってほしい、あなたが書いた本が読みたいから、と言ったのを思い出す。もうすぐ日本についての十冊目(『骨董』)が出版される」とも書かれています。
また1903年にハーンさんが東京帝国大学を解雇され心臓や肺を患っていた時期には、ビスランドさんから彼へ励ましの手紙が送られていました。それ以外にも、ふたりの書簡の資料は多々あります。
こういったやり取りを知っているハーンさんの長男である小泉一雄さんも、著書『父小泉八雲』(1954年出版/小山書店)で、「(父と)エリザベス・ビスランド女史との親交は、あるいは一種の恋愛ともいえるかもしれぬ。しかし、それは白熱の恋ではない。沢辺の蛍のごとき清冽な恋である」と述べていました。
もちろん決定的な証拠はありませんが、そういった説があるため、『ばけばけ』10話でヘブンとイライザが「いい感じ」であることが説明されたのかもしれません。フォックスさんが再び朝ドラに出るだけでなく、演じる役がヘブンの「心の恋人」であることが描かれれば、さらなる話題を呼びそうです。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)、『父小泉八雲』(著:小泉一雄/小山書店)、『小泉セツ 八雲と「怪談」を作り上げたばけばけの物語』(三才ブックス)、『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(著:工藤美代子/毎日新聞出版)
※記事の一部を修正しました(2025年10月14日10時36分)
